長引くマスク生活で衰えた表情筋に。「指鍼(ユビバリー)」顔ほぐしの基本メソッド。
撮影・青木和義 ヘア&メイク・レイナ モデル・本多麻衣 文・知井恵理
マスク生活が日常化した今。いざ外して会話をする時に話しづらさを感じたり、笑顔がぎこちなくなったりなど、何かと違和感を覚える人が多いのでは。
「それは、顔の筋肉のコリやたるみが一因です」とは、美容鍼灸サロン「ハリジェンヌ」院長の光本朱美さん。
「マスクの影響で筋肉を使うことが減り、さらに加齢などで表情筋が衰えると、支えきれなくなった脂肪が顔の下や外側へと流れてたるみを引き起こします。下垂に比べて、外だるみは気づきにくいですが、目元が重くなり、顔の立体感が減り、能面のような平べったい印象や表情になってきたら要注意。肌の奥の顔筋が硬くなったり、首が太くなるのもたるむ一歩手前です」
たるみに直結する表情筋のコリや衰えには、指を鍼のように使って筋肉を刺激する光本さんのオリジナルメソッド「指鍼」でアプローチするのが効果的。顔の筋肉をほぐして鍛えることで、何歳からでもリフトアップすることが可能になる。
「自分の指を使うセルフケアなので、いつでも手軽に安全に行えます。また、皮膚の深層部にある筋肉にしっかりと刺激を加えられるうえに、鍼のようにピンポイントで刺激できるので、結果が早く表れるのもメリットです」
筋肉がほぐれると血流がよくなり、たるみが引き上がるだけでなく、むくみ解消やハリ艶アップも期待できる。固まったり眠っている表情筋を、今こそユビバリーで目覚めさせよう。
あなたの顔は ほぐれてる? 【こんな傾向あったら 要注意!】
1□ 眉間が盛り上がっている
2□ 頬をさわると冷たい
3□ フェイスラインがぼんやりしてきた
4□ 頭皮が動きにくい
5□ 眉額を縦になぞると段差を感じる
6□ 髪の生えぎわが硬くて動かしにくい
7□ まぶたが重い
8□ 口角が上がりにくい
チェックが付いた項目が多いほど、下垂・外だるみが進行中。あまり当てはまらなくても、化粧水や美容液などの効果を感じにくくなっている人は危険信号。
「顔筋を使わなくなったことで血流が悪くなっている可能性が。肌は、筋肉が衰える→こり固まって柔軟性を失う→皮膚がたるむという順に進行するので、油断は禁物です」
こりやすいのはココ!【攻めるポイント】
(1)頭皮と表情筋をつなぐエリア
(2)アンダーアイエリア
(3)フェイスラインエリア
効率よく顔のコリをほぐすには、上の3つのエリアを意識することが大事。「このエリアの筋肉に丁寧にアプローチすると、血行やリンパの流れがよくなり、老廃物が排出されやすくなるので、顔全体の筋肉がほぐれます。そして各パーツが顔の中央に向かって引き上がるので、立体感のあるいきいきとした顔になれますよ」
基本の指の使い方
(1)ユビバリーパンチ
額や頬などの広い面は、親指以外の第2関節でパンチをするよう力を入れると効率的に刺激できる。
(2)側面
人差し指のユビバリーから指の付け根のでっぱりまでの側面。すべらせて引き上げたり流すときに使う。
(3)親指
支えにすると、細かいエリアを狙いやすく力もかけやすくなる。ユビバリーと親指でつまんでもむことも。
(4)ユビバリー
第2関節の角が「ユビバリー」。内側または外側の1点に集中して圧をかけ、ポイントを刺激。
ユビバリーの基本の手の形は2つ。こぶしを握った場合は広範囲に、人差し指を鉤のように曲げた場合は目のきわや小鼻などにアプローチするのに最適。
「どちらの場合も、しっかりと肌に押し当てたまま、ドリルのように細かく回すこと。深いところに刺激を届けることを意識したいので、大きく回したり動かしたりする必要はありません」
スタート前の【ユビバリー3カ条】
●[その一]クリームやジェルを用意
ユビバリーは、顔の筋肉を広範囲に刺激するので、洗顔後の清潔な肌にクリームやジェルを塗って、指のすべりをよくしてから行うこと。
「のびがよく保湿力が高いジェルやクリームがおすすめ。ケアの途中で肌が乾いてきたら塗り直しましょう。ただし、バスタイムなどに顔をお湯で濡らしながらやる場合は不要です」
●[その二]朝でも夜でもOK
ユビバリーのケアはいつでもOK。
朝に行えば、気になるむくみやくまを軽減できたり、血行を促して化粧ノリもよくなるなどのうれしいメリットが。フェイスラインの引き締めやリフトアップを期待したいなら、夜にお手入れするのが効果的。睡眠中の肌の回復を促すので、翌朝の肌が違ってくるはず!
●[その三]一日最大10分が目安
やりすぎは、皮膚に負担をかける恐れも。週に1回長時間ケアするより、数分間でも毎日刺激するほうが顔のコリやたるみ予防には効果的。長くても一日10分が目安。
「慣れるまでは、短時間のケアでも筋肉痛を覚えることがあります。皮膚に赤みが出ていなければ、正常な反応の範囲なので、心配はいりません」