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ジムに通わず健康を保つ、内科医・秋津壽男さんの「歩く健康法」。

今日からできる、難しくない! 日常から取り入られる健康法を名医が紹介します。

文・白倉綾子 イラストレーション・ハラアツシ 撮影・岩本慶三

歩く健康法

階段も街もとことん歩く!ジムに通わなくても健康は保てます。

\老眼鏡なし。 よく働いてよく遊ぼう!/
\老眼鏡なし。 よく働いてよく遊ぼう!/

秋津壽男さんのタイムスケジュール

【6:30】起床
【7:00】愛犬の散歩
【7:30】朝食
【8:00】徒歩45分(または自転車15分)かけて寄り道しながら通勤
【8:45】病院に到着
【9:00】午前の診察開始
【12:00】食べたいものがあれば昼食をとる。なければ食べない
【15:00】午後の診察開始
【18:00】診察終了
【19:00】夕食・食事会
【22:00】入浴
【24:00】就寝

ドクター秋津健康法(1)背筋を伸ばして歩く。

健康の第一歩は歩くこと、という秋津壽男さんが歩く際に意識しているのは背筋を伸ばすこと。
「背筋を伸ばす=インナーマッスルが鍛えられている状態です。次第に基礎代謝が上がり、痩せやすい体質になるばかりか、内臓がまっすぐ骨盤に収まるので、下腹がポッコリ出ず、消化不良や便秘解消にもなります」

こうして内臓が正しい位置にくると、横隔膜は下がり、肺が大きく使えて呼吸機能が高まります。すると、免疫力が上がり、頭も冴えて、元気に。背筋を伸ばすことは全部の健康につながっています。

おへその下に力を入れてへこませて骨盤を立てると、背筋がスーッと伸びる。ゆっくりでも姿勢を意識して歩く。
おへその下に力を入れてへこませて骨盤を立てると、背筋がスーッと伸びる。ゆっくりでも姿勢を意識して歩く。

ドクター秋津健康法(2)年齢が出る後ろ姿、誰かの視線を意識して歩く。

ラフな格好をしているのに、内側からにじみ出るような凛とした佇まいの人は、後ろ姿が違う。

「街やスーパーなどで熟年の女優さんを見かけることがあります。プライベートのはずなのに、撮影中かな? というくらい背中がピンとして後ろ姿が美しいんですよね。見られることが職業の方は癖になっているんでしょう。
私もスターになったつもりで、いつも誰かに見られていると思って歩くようにしています。後ろ姿を意識して歩くことは、ヨガやエクササイズをしているのと同じことです。体幹が鍛えられます」

ジムに通わず健康を保つ、内科医・秋津壽男さんの「歩く健康法」。

ドクター秋津健康法(3)階段は最高の筋トレ! 上り下り、しっかり踏みしめる。

階段を上り下りするときは、安全のために手すり側を歩くようにする。また速さは必要なく、一歩一歩、踏みしめるように歩く。
階段を上り下りするときは、安全のために手すり側を歩くようにする。また速さは必要なく、一歩一歩、踏みしめるように歩く。

まずは“ワンアップ、ツーダウン”から始めてみましょう。

「“ワンアップ、ツーダウン”とは、上りは1階分、下りは2階分、歩くことです。もっと歩けるという方は、4階、5階と階数を増やしましょう。マンション暮らしの方なら、トレーニングウエアに着替える必要もないし、雨の日でもできるし、うってつけの運動です。マンション暮らしでなくても、デパートや駅、会社などでは、移動はエレベーターやエスカレーターを使わず、階段を使いましょう」

高層マンションの上の階に住んでいる方は、災害時の予行演習だと思って、日頃から階段に慣れておくのがいいそうです。

「1週間に1回、自分の階から地上まで往復してみます。もちろん、
つらくなったら途中でエレベーターに乗っても構いません。今まで10階まで歩けていたのに、8階が限界となれば体力が落ちているというバロメーターになりますし、その逆もしかりです。階段を歩くことは、運動器の衰えからくるロコモティブシンドロームの予防につながります。また、防災面からしても、階段の歩き具合を知っておくことは有意義です」

「歩けないとネットワークが途切れ、認知症になりやすい」と秋津さん。
「歩けないとネットワークが途切れ、認知症になりやすい」と秋津さん。

ドクター秋津健康法(4)通勤時間はジムと思って、ウォーキングを活用する。

5分早く起きて、遠回りの道を歩くこともおすすめ。「例えば、駅まで15分かかる道を歩いて通勤しているなら、5分早く起きて、20分かけて違う道を歩くようにします。
“通勤”ではなく、“歩く”ことを意識してウォーキングタイムにするんです。歩き慣れない道で、ちょっとした発見も楽しみながら、歩いてみるのもいいものです。
歩くことを楽しむのが、遠回り通勤を長続きさせる秘訣でもあります。あと何分しかない!? と義務的に歩くか、ゆとりをもって歩くかで、一日の始まりが変わりますよね」

背筋を伸ばして、日常生活よりも気持ち大股で少し速めに歩く。ウォーキングは有酸素運動なので脂肪燃焼に効果あり。
背筋を伸ばして、日常生活よりも気持ち大股で少し速めに歩く。ウォーキングは有酸素運動なので脂肪燃焼に効果あり。

ドクター秋津健康法(5)プールでは、しっかり水中ウォーキング。

安全で、効果が高く、誰でもできると秋津さんお墨付きの運動が水中ウォーキングです。

「泳ぐのが苦手な方は、水中ウォーキングがおすすめです。水中は浮力があるので膝や腰に負担がかかりにくく、また、水圧の抵抗を受けながら歩くのでほどよく負荷がかかり、安全で効果の高い有酸素運動といえます。泳げる方は、泳ぎを組み合わせるとさらにいいですね。水泳は、歩く筋肉とはまったく違う筋肉を使うので、運動効果がさらにアップします。近くにプールがある方はぜひ活用していただきたいですね」

一歩一歩、大きく踏み込みながら歩いたり、足を腰まで上げて歩いたり、後ろ向きに歩いたりと、歩き方を工夫して。
一歩一歩、大きく踏み込みながら歩いたり、足を腰まで上げて歩いたり、後ろ向きに歩いたりと、歩き方を工夫して。
  • 秋津壽男

    お話を伺ったのは

    秋津壽男 さん (あきつ・としお)

    内科医、医学博士。

    1954年和歌山生まれ。柔らかな物腰とはっきりとした物言いで、町のお医者さんとして信頼が厚く、内科・循環器科・消化器科・アレルギー科・小児科を診る。わかりやすい説明が話題となり、テレビ番組への出演や雑誌、講演などさまざまなメディアで活躍。著書に『本当に怖いのは、第三の脂肪』(幻冬舎)ほか多数。
    ●秋津医院/東京都品川区戸越3-1-2 イマールビル2階 TEL.03-5749-2062
    http://akitsu-clinic.life.coocan.jp/

『Dr.クロワッサン あなたも、すぐできる! 名医の健康法』(2019年9月28日発行)より。

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