反射神経が試される!? “音ゲー”アプリ『うしろ!うしろ!』 │山口恵以子「アプリ蟻地獄」
イラストレーション・勝田 文
次々に飛んでくる円盤を、画面上の円をタップしてキャッチするゲームアプリ。上手く円に重なったところでタップしないと失敗で、早すぎても遅すぎてもダメ。
ゲームキャラはお下げ髪にミニスカートの可愛い少女で、軽快な音楽に乗って踊りながら円盤キャッチを盛り上げてくれる。「うしろ!うしろ!」というタイトルは、途中でママが部屋を覗きに来るので、見つかったらアウト。ドアが開く瞬間に机をタップし、少女に勉強しているフリをさせれば大成功。ステージが上がる。
この少女キャラとポップなノリ、何となく記憶にあると思ったら、以前ご紹介した「ママにゲーム隠された」「トースト少女」と同じ会社の制作だった。なるほど。
前二作のような“お見事とアホの境界線を行き来する”奇想天外さはないが、素直にゲームとして楽しめる作りになっている。ゲームオーバーした時「ショボ〜い」とぼやく少女の声が、とても無邪気で憎めない。
が、しかし、実はこのゲーム、反射神経の衰えた私のような高齢者には大変難物で、ママが覗きに来る前にミスタッチを量産して「TOO BAD」の表示とともに終了。その度に「ショボ〜い」と言われると、仏の顔もなんとやらで頭にくる。多分、ピアノをやっている人なら、もっと機敏に指が動くのだろうが。
教訓、老いは指先にも忍び寄る。
それにしても今時の子供達は、ママにゲームを隠されたり、勉強部屋で遊んでいるのを見つかったりして、素直に反省するのだろうか?
山口恵以子(やまぐち・えいこ)●作家。最愛の母と過ごした最期の日々を綴ったエッセイ『いつでも母と』(小学館)。
『クロワッサン』1024号より
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