若返りホルモン(DHEA)を摂って、太りにくい体になる。柴田理恵さんが専門家に学びました。
撮影・岩本慶三 文・寺田和代
更年期後の女性にも不可欠な男性ホルモンで心身の若さを保つ。
柴田 おもに男性ホルモンの原料になるものが女性の体にも必要なんですね。
満尾 そのとおりです。DHEAは広い意味では男性ホルモンのグループに分類されますが、男性ホルモンの一つ、テストステロンを経由して女性ホルモンにもなります。閉経後の女性は卵巣機能が落ちるため、女性ホルモンの供給は男性ホルモン経由がメインルートになるんです。
柴田 閉経後も男性ホルモンと女性ホルモンの両方が必要なんですね。
満尾 代表的な働きの一つが骨を守ることです。男性ホルモンは骨を作り、女性ホルモンにはカルシウムが骨から溶け出すのを防ぐ働きがありますが、閉経後の女性は骨の作り手も防ぎ手も少なくなるために、骨粗鬆症になりやすくなるのはご存じのとおりです。DHEAを補えば男性ホルモンと女性ホルモンのどちらも増えるため、とりわけ閉経後の女性には骨を守る手立てになるわけです。また、男性ホルモンは筋肉量や筋力を保つ“活動する力の源”ともいうべきホルモンですから、若々しく太りにくい体を維持するために不可欠なホルモンといえます。一方の女性ホルモンには、体調を安定させる潤滑剤のような働きがあることが知られています。さらに近年の研究で、DHEAが成長ホルモンと同じように老化速度を抑える働きがあることもわかっています。健康長寿の人は共通してDHEAの血中濃度が高いんですよ。
柴田 いいことだらけですね! どうしたらとれるのでしょう。
満尾 アメリカなどでは減った分のDHEAを栄養サプリメントの形で補うことが一般的です。その効能や安全性についてはすでに2000年までに研究され尽くされ、いまではスーパーなどでごく一般的に買えるものになっています。日本では残念ながらまだ一部の医療機関でしか扱われていませんが、自然薯、里芋、菊芋、ヤツガシラなど粘り気のある芋類からとることができます。柴田さんはこれらの芋類は召し上がりますか。
柴田 ええ。里芋は、芋類の中でもとくに。
満尾 それはよかった。昔から自然薯を食べると元気になると言われてきたのはご存じでしょう?
柴田 はい。
満尾 それは、自然薯を食べると男性ホルモンが増え、またそれを経由して作られる女性ホルモンのおかげで美肌効果が高まるからです。
柴田 おばあちゃんが調理してくれたような、日本の伝統的な食材ですよね。
満尾 そうです。20年近くクリニックをしてきてつくづく実感するのは、結局、昔から日本人が食べてきたものが心身を若く保つ上で最も理にかなっている、と。DHEAに限らず、味噌、納豆、ぬか漬けなどの発酵食品も老化予防に非常に役立つ食べ物なのです。
DHEAを含むのはネバネバ系の芋!
柴田 私はもともと料理好きで、食生活には気をつけているほうだと思いますが、若々しく太りにくい体を保つために食材選びや食べ方、調理法のコツがあれば教えてください。
満尾 若く太りにくい体を維持するにはまず栄養バランスを整えることです。その際に参考になるのが、フードピラミッドです(下の図参照)。三角形の下の部分が日常的にとるべき食品で、上にいくほど食べる頻度を少なくするよう示されています。穀類は精製されていないものがおすすめですが、白米をとる際は足りない栄養素を加えればいいでしょう。かつての日本人はぬか漬けを必ず食べることで白米に足りないビタミンやミネラルを補う習慣がありました。
体の中から若返るための 栄養バランス。
柴田 私は、納豆、味噌、ぬか漬けなどの発酵食品を毎日とっています。豆類も自分で煮るし、豆腐も大好き。好きなものがたまたま先生の推奨されるものばかりでラッキーでした。
満尾 1日1食は味噌なり納豆なりを毎日とることが理想ですが、柴田さんはとてもいい食生活ですね。発酵食品で腸内環境が整えば、老廃物をきちんと排泄でき、代謝機能がアップし、若々しい体形の維持につながります。昔から発酵食品は快食快眠医者いらずと言われる由縁です。ちなみにタンパク質はおもに魚介類と鶏肉からとることが推奨されています。牛や豚など哺乳類の肉は“ごくまれ”にすべきでしょう。