俳優として活躍するかたわら、20年以上前からライフワークとして、秋田県で米作りを続けている永島敏行さん。そこから食や農業の世界にも関心が広がり、15年前から生産者と消費者をつなげるマルシェ「青空市場」を始めるようになった。現在も毎週金曜日、東京・丸の内の行幸通り地下通路で、全国各地の食材を販売している。今回、挙げてくれた茨城県にある「しんあい農園」の干し芋も、このマルシェへの出店がきっかけで出合った一品だ。
「食べてみたら、程よい甘さと柔らかさがあって、すごくおいしかったんです。農園の三代目、澤畑君はまだ若い、大らかな青年。普通なら、ほかの作物も作るところを、干し芋一本でやっていると聞いてびっくりしてね。頑張っている彼を応援したい気持ちもあるんです」
有機栽培した玉ゆたか、紅はるかを自然乾燥。手軽につまめるようにカットした平干しと、芋一本をそのまま干した、食べ応えばつぐんの丸干し。どちらもしっとりとした食感と自然な甘みがあり、飽きのこない味わいだ。
「コーヒーや紅茶に合うのはもちろん、スライスして生ハムやチーズをはさんでワインと一緒に食べてもいけます。冷凍保存しておいて、夏場に食べるとひんやりしておいしいですよ。糖度が高いから、冷凍しても凍らないんです」
毎年12月から販売を始めるため、お歳暮やお年賀に贈ることが多いほか、舞台の公演中の差し入れにしたことも。
「老若男女、贈る相手を選ばないのもいい。特に若い女性や小さな子どもを持つお母さんたちには人気があります。ただ、最初は『へえ、干し芋か』って、反応が薄いんですよね。華やかなスイーツや高級フルーツに比べると、見た目も地味だから。でも誰もが一口食べると、『また食べたい』って言ってくれるんです」