17世紀のオランダで高い評価を得ていたフェルメール。ところが没後は、世間から忘れ去られた存在となり、再発見されたのは200年後の19世紀のこと。以後、何人もの研究者が“忘れられた画家”の作品を巡って真作と贋作を見極めようとしてきた。
そして近年のフェルメールブームの契機となったのが、1995年から’96年にかけて米国ワシントンとオランダのデン・ハーグで行われた『フェルメール展』。とはいえ、美術評論家の千足伸行さんによれば、
「日本でもその報道はされましたが、一部の美術ファンだけが知っていたにすぎません。それもそういう画家がいるんだなと認識した程度だったと思います。実は’68年に『レンブラントとオランダ絵画巨匠展』という展覧会でフェルメールの作品は来日しています。が、あまり注目されていなかった。日本でフェルメールの知名度が高まったのはやはり2000年の大阪での展覧会でしょうね」
来場者数は60万人ほど。以降、フェルメールをメインとする展覧会が相次いで開催され、空前のブームが到来。さらに2008年、東京で開催された展覧会では93万人を記録した。
「これまで日本では、オランダのオールド・マスター(古典の名画)を見る機会がとても少なかった。でも誇張ではなく、17世紀オランダは素晴らしい黄金時代です。ものの良さはたくさん見なければ分からない。大勢の人がフェルメールを見たということは次に繋がります。見る前と見た後では必ず何かが変わりますから」
今回の展覧会で、どうなるか?