子供の頃絵本で読んだ『八岐大蛇(やまたのおろち)』や『因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)』も出典は『古事記』だった。そして兎を半殺しにしたのが“ワニ”なので、昔は日本に鰐がいたのかと思っていたら、サメのことだった。そんなあれこれを、私はずっと後まで知らなかった。
事ほどさように、我々日本人は自分の国の神話に親しんでいない。もしかして、『ギリシア神話』を読んだ人の方が多いかもしれない。
『ギリシア神話』にもオルフェウスが亡き妻を追って黄泉国(よみのくに)へ行くくだりがあるが、迫力と言い、ユニークさと言い、断然イザナギ・イザナミペアの勝ちである。
イザナギが黄泉国から帰って「すごく汚い所へ行ってきた」と、川に入って沐浴するシーンなど、日本人の“汚れ”を嫌う国民性は、神話の時代から継承されてきたのだと、まことに感慨深かった。
とにかく、お勧め太鼓判です!