【お悔やみ編】シーン別で考える、失敗が許されない大切な手紙の書き方〈文例集〉。
文・石飛カノ
【お悔やみ・同僚に】ストレートな表現は避けて、相手の気持ちに寄り添う。
手紙の中でもお悔やみは最も難しいメッセージのひとつ。
「大抵の場合、亡くなった方がどういう亡くなり方をしたのかがわかりません。手紙を受け取る相手の心の準備ができていたのか、それともショッキングな死でそれどころではないのか、ということがわからないことも多いので、ストレートな表現はしないことが基本になります」
お悔やみの手紙は相手の気持ちに寄り添い、元気を出してほしいという願いを込めて綴るもの。自分の体験談を例に出すのもいいが、そのときは自分はつらい気持ちをどう乗り越えたかということを添えたい。
内容もさることながら、力強く文字を綴ることも大事なこと。
「書き手の動揺が文字に出てしまっては、励ましにはなりません。心が落ち着くまで待って、しっかり文字を綴りましょう」
《いつもの手紙》
1. 大切な母親を亡くした相手の気持ちに寄り添うには、こうしたストレートな表現は不適切。「不幸」もNGワード。
2. 上から目線の表現。相手が自分より20歳くらい離れている年下の場合であれば、かろうじて許される。
3. いきなり仕事への復帰を促す表現は、冷たい印象を与えてしまう。相手の悲しみを思いやっていない。
《できる大人の手紙》
1. 自分の体験を語るときは、心に平穏が戻るまでの体験を綴って相手に寄り添う。
2.「書面にて心よりお悔やみを申し上げます」は、お悔やみの基本のフレーズ。覚えておこう。
3. 元気を出してほしい、悲しみから早く立ち直ってほしいという気持ちを込めて添える。
4. 仕事にすみやかに復帰することではなく、「元気な姿」や「明るい笑顔」が見られることを願う。
むらかみ かずこ●手紙文化振興協会代表理事。企業・自治体向けの研修や一般向け講座で手紙の書き方を幅広く指導。『できる大人の“一筆添える”技術』(中経の文庫)など著書多数。
『クロワッサン』975号より
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