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温かな表情が楽しめる器、スリップウエアの窯元を訪ねて。

味わいのある模様と色で、食卓を和ませてくれるスリップウエア。滋賀の信楽で活動する陶芸家・山田洋次さんの工房で、制作工程や器との付き合い方を聞きました。

撮影・小出和弘

山田さんの新作。スリップ7寸皿 φ21×H3.5cm 5,000円(ギャラリー うつわノート TEL 049・298・8715)
山田さんの新作。スリップ7寸皿 φ21×H3.5cm 5,000円(ギャラリー うつわノート TEL 049・298・8715)

化粧土の特性を生かして、この模様を考えました。

中世から現在まで陶磁器の生産を続ける代表的な6つの窯(六古窯)のひとつに数えられる滋賀の信楽。陶芸家の山田洋次さんの工房は、そんな信楽の山あいの緑豊かな集落にある。
山田さんが作陶するスリップウエアは、器の表面にスリップと呼ばれるクリーム状の化粧土で装飾を施す。素朴な線と描かれた個性的な模様や絵柄が、温かみを醸しだす器として注目を集めている。

古民家の趣がある山田さんの自宅。陶芸家から譲り受けたため、敷地内に工房がある。庭には電気窯と灯油窯も併設。
古民家の趣がある山田さんの自宅。陶芸家から譲り受けたため、敷地内に工房がある。庭には電気窯と灯油窯も併設。

取材で訪れた9月初旬は、10月に行う個展に向けた器作りの真っ最中。自宅の一角にある工房には円柱状になった土がいくつも置かれ、窯に入れる前の成形された状態の皿やカップが所狭しと並ぶ。
「今はいろいろな柄を試したり、器の種類ごとに焼き方を変えてみたりしているところです。出来上がった皿を奥さんに実際に使ってもらって、感想を聞いたりもします」(山田さん)

妻・麻祐子さんにそのことを尋ねると、キッチンの棚の上に山田さんが試してほしいという器が置かれてあり、麻祐子さんがその日の料理に合わせて盛り付けてみるという。
「最近では8寸(約24cm)の平皿が使い勝手がよかったですね」
麻祐子さんは、山田さんとともに信楽にある窯業試験場で学んだ同級生。修了後は島根県にある民藝の焼き物づくりで知られる窯に就職。使い勝手のいい実用的な陶器を作っていた。確かな目を持つ妻の意見も参考にしながら、山田さんのスリップウエアは作られていく。

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