ゆるやかな糖質制限で
目指すのは「ロカボ」生活。
日々、多数の糖尿病患者と向き合っている、北里大学北里研究所病院 糖尿病センター長の山田悟さん。患者に提供するベストな糖尿病食とは何か、試行錯誤の中でたどり着いたのが、〝カロリーを制限することなく糖質のみをゆるやかに制限する〟という食事法。
「糖質制限というと、主食である炭水化物をただ排除、という方が多いと思います。しかしそれでは全体の栄養価が下がる上に、ご飯や甘いものが好きな人にとっては、非常につらい。ですから私の提案する食事法では、糖質は完全に禁止するのではなく、許容範囲において量を調節して上手に摂る。1回の食事につき糖質は20〜40g 程度は摂ってよし。量は少なめですが、あるだけで満足度はかなり違うと思います」
献立を見ると、食事全体のボリュームが多いことに驚かされる。
「主食を減らした分、おかずをたくさん食べられます。肉や魚、大豆製品などのタンパク源をメインにして、野菜や海藻類もたっぷり摂りましょう。オイルやクリームといったカロリーの高いものも、私の提唱する食事法では問題なし。目的は糖質を減らすこと。一度カロリーのことは忘れて、献立に向かい合ってみてください」
山田さん監修の、編集部オリジナル糖質制限献立レシピをご紹介。その食べ応えに驚くはずだ。
水菜を加えることで少量の麺でも大満足。タンパク質もたっぷりのパスタ献立。
生クリームとバターは糖質オフ食の強い味方。パスタは野菜でかさ増しを。
パスタなどの麺類を主食にする場合、一般的な量を食べると極端に糖質が高まる。量を減らしても満足度の高い一皿にするには、糖質の低い野菜を加えてのかさ増しが必須。ソースに使ったアボカドも、実は低糖質食材。2分の1個使っても、たった0・5g程度の糖質量。またバターや生クリームは、カロリーは高いが糖質は低いものの代表食材。クリームソースは、ボリュームが出せ、なおかつ食後の満足度も高い。主菜は焼いた鶏もも肉。こちらも、「100g食べたとしても糖質は約2・5g。たくさん摂っても問題のない食材です。副菜に使ったイカは、糖質が低い魚介類の中でも、より低い素材。味付けに酢を使っていますが、米酢ではなく穀物酢を使うことで、少量ですが、さらに糖質を減らすことが可能です」
■アボカドのレモンバタークリームパスタ
材料(2人分) スパゲティ80g 水菜100g アボカド½個 レモン½個 玉ねぎ½個 バター30g A[生クリーム⅔カップ コンソメ・塩各小さじ½ こしょう少々]
作り方 ①水菜は根を除き、半分の長さに切る。レモンは搾る。玉ねぎはみじん切りにする。②フライパンにバターの⅔量を入れて弱めの中火にかけ、玉ねぎを炒める。しんなりしたらアボカドを加えて崩しながら炒め、Aとレモン汁を入れて一煮立ちさせ、火を止め、残りのバターを加える。③スパゲティを袋の表示どおりに茹で、茹で上がり1分前に水菜を加え、茹で上がったら②のソースを絡める。器に盛り、あれば粗びきこしょうをふり、レモンを飾る。
■イカのハーブマリネ
材料(2人分) イカ100g 紫玉ねぎ¼個 A[ドライハーブ(好みのもの)小さじ½ 酢大さじ2 オリーブオイル小さじ2 塩小さじ⅓]
作り方 ①湯を沸かし、一口大に切ったイカをさっと茹でる。紫玉ねぎは薄切りにする。② ①とAを混ぜ合わせ、ラップをして15分以上漬け置く。好みでレモンを加えても。
■鶏肉とアスパラのアンチョビガーリック焼き
材料(2人分)アスパラガス4本 鶏もも肉300g 塩小さじ⅓ こしょう少々 アンチョビ2切れ にんにく1かけ オリーブオイル大さじ1
作り方 アスパラは4㎝長さに切る。アンチョビ、にんにくはみじん切りにする。鶏肉は2等分に切り、塩・こしょうをふる。②フライパンにオリーブオイルをひいて中火で熱し、鶏肉を皮目から入れてギュッと押さえ(重石になるものがあればのせると、よりパリッとなる)、皮目がパリッとしたらひっくり返し、アスパラとアンチョビ、にんにくを入れて蓋をし、アスパラを時々返しながら4~5分蒸し焼きにする。全体に塩・こしょう各少々(分量外)をふる。
『クロワッサン』929号(2016年7月25日号)より
●山田悟さん 北里大学北里研究所病院 糖尿病センター長・医学博士。ゆるやかな糖質制限食を提唱。著書に『Dr.山田流「糖質制限」料理教室』(主婦と生活社)、『ロカボで食べるとやせていく』(幻冬舎)などが。
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