【生・蒸す・煮る・茹でる】オイルの効果を丸ごと、100度までの調理法。
サチャインチオイル、アボカドオイル編
トランス脂肪酸を摂り続けると、心臓疾患のリスクが増加。欧米ではトランス脂肪酸が含まれている食品の販売は禁止になっています。
「煮る、蒸す、茹でる調理なら、100度以下を保てるので、油を変質させることはありません。油の概念も変えるときに来ていると思います。いい油は『ウェルネスオイル』、体の不調を改善し、積極的な健康効果をもたらしてくれるものなんです」
そのためには、油の臨界温度も知っておきたい。
オメガ3系のえごま油やアマニ油は加熱調理には不向きですがが、同じ3系でもサチャインチオイルなら100度程度の中温加熱も可能。
「私たちに一番必要なえごま油やアマニ油は確かにデリケートですが、加熱調理後の粗熱が取れた状態で使えばいいのです。アボカドオイルやマカデミアナッツオイル、米ぬか油は比較的高温でも劣化しないので蒸しものや煮込み料理に」さらに、ウェルネスオイルで調味したペーストやソースを添えることで、食卓で味わいを変化させる楽しみもあります。「ファイトケミカルやビタミンが味わいとなるんです。だから、野菜をつけただけでもおいしいんですね」
地曳さんは、分子栄養学も学んできましたが、そのきっかけは、母親の糖尿病だったといいます。
「母が糖尿病になったのは、糖質だけではなく、オメガ6系の油の過剰摂取でした。そのため、インスリンの分泌が邪魔され、血糖値のコントロールができなくなっていたのです。分子栄養学というのは、カロリー計算が主体の従来の栄養学とは一線を画していて、食べものが体の中に入って、どこで代謝され、どこでどんなふうに働くのかにフォーカスした栄養学なんです」
母親の食生活を見直し、オメガ6系の油をやめ、オメガ3系の油にシフトすることで糖尿病から回復。地曳さん自身も、疲れにくく、風邪もひきにくくなった。肌の調子もすこぶるいいといいます。「油とのつき合い方を変えるだけで、驚くほど健康になれるんです」
【脳に効く】イワシの梅味噌和え
作り方
1.Aを千切りにしてサッと水にさらし、水気を切っておく。
2.Bを混ぜ合わせて和え衣を作る。
3.イワシは食べやすい大きさに切り、2でよく和え、2㎝ほどに切った万能ねぎを加えて軽く混ぜ合わせる。
4.3を器に盛り、Bの薬味を上にのせる。
Point
●イワシに含まれるDHA、卵黄に含まれるレシチンは脳の働きを若々しく保つ。
●サチャインチ梅味噌は、青魚特有の魚臭さを消す効果があるので、アジやサバの刺身にも合う。
サチャインチオイルとは・・・
緑黄色野菜のようなグリーンの風味を感じるフレッシュな油。トウダイグサ科の常緑樹がサチャインチで、インカインチとも呼ばれる。星型の緑色の実が特徴的。種子から油を作るようになったのはここ10年ほど。産地は南米7カ国にまたがるアマゾンの領域。オメガ3系でありながら短時間なら100度以下の加熱料理にも使える。ビタミンEの含有量もトップクラス。開封後は冷蔵庫保存を。
【目に効く】カラフル野菜のラタトゥイユ
作り方
1.Aを2㎝角に切って鍋に入れ、塩少々とアボカドオイル(分量外)を回しかけ、中火にかける。ふつふつとしてきたら、弱火にし、火が通ったら塩で味を調える(食べる時にアボカドオイルペーストを加えるので、ここでは薄味に)。
2.アボカドオイルと白味噌を混ぜてペースト状にする。
3.1を器に盛り、2のアボカドペーストを混ぜながら食べる。
Point
●かぼちゃや人参に含まれるカロテンは体内でビタミンAに変わる。ビタミンAは角膜や網膜の細胞、粘膜を正常な状態に保つ働きがある。
アボカドオイルとは・・・
コクはあるのにクセはない、使い勝手のよい油。世界一栄養価の高い果物の名にふさわしく、オイルにも若返りのビタミンE、ストレスケアのβ-カロテン、疲労回復のビタミンB群などが豊富。オメガ9系のオレイン酸が主体で、ルテインは現代人特有の目の疲れを癒やす。
◎地曳直子さん 「地と手」代表、オイリスト/日本メディカルアロマテラピー協会認定講師、調合師。日本オイル美容協会認定講師。各種セミナーも主催。
『クロワッサン』908号(2015年9月10日号)より
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