今年行きたい、海の宿──絶景と澄んだ空気でリトリート
撮影・藤田二朗(photopicnic) 文・野村美丘
日除けや冷え対策にも便利なシアーカーディガン
コットン100%で軽くて涼しい素材ながら、日差しや冷房の冷えからもしっかり守ってくれるカーディガン。これから暑くなる季節に持っておきたい、心強い1枚です。
無為自然 -ATAMI-(静岡・熱海)
相模湾を一望しながらの食事に温泉に、心がほどける
古きよき昭和の温泉旅館が多く集まる観光地という、静岡・熱海のかつてのイメージは変わりつつある。新しいセンスのホテルや飲食店が増え、人気再燃中なのだ。
そんな賑やかな中心部の熱海駅から南の下田方面へ、電車で3駅。網代エリアでは、海沿いの道に干物店が軒を連ね、その店先では水揚げされたばかりの魚が天日干しされている。海から道を挟んだ目の前には網代朝日山が迫ってきている。中心部とは趣が異なる、のどかな地元の風景だ。
海沿いから山道に入り、急勾配の高台にある「無為自然(むいしぜん) ―ATAMI―」は、2025年8月にオープンしたラグジュアリーリゾート。コンセプトの「デスティネーションオーベルジュ」には、このホテルで過ごすこと自体を旅の目的にしてほしいという思いが込められている。
とはいえ、客室に華美な装飾があるわけでも、多彩なアクティビティが用意されているわけでもない。ここにあるのは、素晴らしいオーシャンビューと、心身がほぐれる温泉と、おいしい料理“のみ”。つまり、全客室から見渡すことができる相模湾の水平線パノラマ、その絶景を共有するテラスの天然温泉露天風呂、そして伊東と稲取の漁港で獲れた海の幸をふんだんに使った料理、“それだけ”だ。「作為なく、ありのままでいることがよい」という老子の「無為自然」の思想に則り、可能な限り削ぎ落として本質だけを残した、本当の意味での贅沢。それを存分に味わえるよう、またリラックスして過ごせるよう、インテリアも極力シンプルに、あえて必要最低限の設備に留めているのだ。
食事は、東京を代表するフレンチ『蒼』と共創したレストラン『LAT.34°Nby蒼(ラット・サンジュウヨンドエヌ・バイ・アオ)』で。生産者から直接食材を仕入れ、産地やそのストーリーをも包括する調理の哲学とアプローチは『蒼』そのままに、黒潮の恩恵と豊かな岩礁が育む鮮度の高い食材を、芸術品のようなひと皿に。伊豆半島の漁場から数時間以内に仕入れたキンメダイ、タチウオ、サバ、サワラ、アオリイカなど、熱海ならではのシーフードを堪能できる。
施設内にはインフィニティプール、プールサイドバー、セルフロウリュ式サウナがあり、ここでは夕暮れの海を眺めるひとときを過ごしたい。
静岡県熱海市網代591-38 TEL:0557-52-6155 JR「熱海」駅またはJR「網代」駅より送迎サービス(送迎付き宿泊プラン限定)あり。2名利用1泊1室12万8000円~。
Entô(島根・隠岐島)
隠岐ユネスコ世界ジオパークの拠点に
660万年前に隠岐(おき)諸島が生まれ、3万年前に日本列島に人類が渡り、そして800年前には後鳥羽上皇などの遠流の地に。地球と人の悠久なる営みが織りなす中ノ島、海士町(あまちょう)。Entô(エントゥ)=遠島の名が示すとおり、本土からだとフェリーで約3時間かかるが、菱浦港へ到着すればそこから宿まではすぐだ。ジオパークを学べる展示室や、解説員によるEntô Walk、各種アクティビティを活用して、ダイナミックな環境に身を委ねたい。
yubune(広島・しまなみ海道)
多島美を擁する銭湯宿で、ローカル気分
アマン創業者のエイドリアン・ゼッカらが惚れ込んだ瀬戸田の土地に根づく、ローカルとのコミュニケーションを大切にした新しいスタイル。併設の銭湯は街にも開かれており、古くから重要な海上交易の中継地だったという生口島の特性に倣い、地域と旅行者の交流拠点としても機能している。しまなみ海道らしくゲストにはサイクリストも多いが、そうでなくともレンタルサイクルを利用して島内や隣島までツーリングしてみたい。
HOTEL HOLIDAY HOME(京都・京丹後市久美浜)
久美浜湾を望む、林のなかのアットホーム
丹後半島の付け根、久美浜のほとりのかぶと山公園内。海と山に囲まれ、中心部とはまた違う京都の魅力が発見できるロケーションだ。久美浜湾を眺め、雑木林を散策したあとは、〈Bshop〉や〈THE NORTH FACE〉のストアを覗いたり、レストランで丹後の海、山、里の幸を使った料理に舌鼓を打ったり。ホテルのある〈HOLIDAY HOME〉敷地全体で、ステイしながらにして豊かな自然環境にシームレスにつながることができる。
『クロワッサン』1163号より
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