『小説のように家を建てる』吉川トリコ 著──家を建てた顛末と過程を率直に公開
文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。
文・瀧井朝世
小説家である著者が、夫婦で一軒家を建てるまでを綴った一冊。小さい頃から住宅のチラシで間取りを眺め、モデルルームを覗くのが好きだった私は、こういうの大好物です。
なぜ家を建てることになったのか、土地や工務店はどのように探したのか。夫との意見の違いはあったのか。昨今の注文住宅の傾向や資材の種類なども具体的にわかるうえ、そこから何を優先し予算を組み立てていったのかなど、率直に書かれていて分かりやすい。当初の間取りと変更後の間取りも掲載されていて、「ああ、こういう工夫をしたのか」と分かるのも楽しい。ちなみに本にも家の写真が数点掲載されているが、著者のインスタにもお家の映像あり。
私は注文住宅を建てる予定もないが、自分ならどんな家が建てたいか想像するのはやっぱり楽しい。また、家を建てることに限らず、人生において重大な何かを選び取る時の調査、検証、こだわり、迷い、妥協、決断や、時間と気力の消耗、さらにはびっくりするくらい失礼な業者の存在など、「わかるわかる」と感じるところが多々あった。改めて、私もちゃんと自分の生活を選び取っていこうと気合が入った。
『クロワッサン』1156号より
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