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『繋がり方がわからない』門賀美央子 著──中高年期における人との繋がりの意味

文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。

文・瀧井朝世

『繋がり方がわからない』 門賀美央子 著 双葉社 1,870円
『繋がり方がわからない』 門賀美央子 著 双葉社 1,870円

『死に方がわからない』『老い方がわからない』に続くシリーズ3作目。今回は中高年期における人との繋がり方と居場所の探究に取り組み、「孤独」と「孤立」の違いや、どんなに孤独好きでも特に高齢期はやはり人との繋がりが大切ではないのか、ということが、さまざまな角度から語られる。脳内で複数の人格を立てて会議させるなど、軽妙な語り口で読みやすい。

独身者向けの内容ではあるが、読みながら私が考えていたのは主に自分の身近にいる高齢女性のことだ。最近夫を亡くしてかなりのダメージを受けており、私もケアしているのだが、彼女と同世代の方々がいろいろ気にかけてくれており、歳を重ねてからの人との繋がりって、やっぱり大事だなとしみじみ思ったのだった。村田喜代子さんの『美土里倶楽部』(夫を亡くした女性たちの関わり合いと孤独と向き合う姿を描いた小説)も思い出した。

自分は人よりも孤独耐性は高いほうだが、人と繋がりたくないわけではないし、生きていると他者の存在が必要になることはある。でも人付き合いは上手くないほうだし……と、作中の脳内会議のひとりひとりの意見どれもうなずけた。共感度高し。

  • 瀧井朝世 さん (たきい・あさよ)

    ライター

    著書に『ほんのよもやま話〜作家対談集〜』『偏愛読書トライアングル』など。

『クロワッサン』1155号より

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