【俳優・近藤公園さんに聞いた】満を持しての一人芝居!── 舞台『キャプテン・アメイジング』
撮影・メグミ 文・黒瀬朋子
優しい人からヒール役まで、映像や舞台で市井の人をリアルに演じる近藤公園さん。『キャプテン・アメイジング』で一人舞台に挑戦する。
「わー、ついに来たかと思いました。松尾スズキさんが50歳の時に一人芝居をなさって、『見える世界が広がるよ』とおっしゃっていたんです。風間杜夫さんの一人芝居も好きで拝見していて、自分もいつかやることがあるのかなと漠然と思っていました。今は怖いなという気持ちとワクワクドキドキと半々でいますね」
アリスター・マクドウォールさんの戯曲で、演出は田中麻衣子さん。松尾諭さん、田代万里生さんとのトリプルキャストだ。
「台本はすべて対話になっていて、落語みたいなのですが、役名が書かれてないんです。演じる人によって印象は変わると思うので、3人の違いを見比べていただくのもいいのかも」
主人公はホームセンターで働くマーク。娘のためにマントを着て、「キャプテン・アメイジング」としてスーパー・ヒーローに変身!? 近藤さん自身も娘を持つ父親なので、共感するところもあるらしい。演出の田中さんは、近藤さんの実直さを期待しているとコメント。
「僕が実直かどうかはよくわからないですけど(笑)、自分では天邪鬼だと思っています。マークは内向的な性格で口下手。僕も屈折したところがあるので、そのあたりは深掘りできそうだなと思っています」
宮藤官九郎さんや阿部サダヲさん、荒川良々さんらを輩出する、笑いを得意とする松尾スズキさん主宰の「大人計画」に所属しながら、栗山民也さん演出のシリアスな舞台や、山田洋次監督の映画に7作出演するなど、近藤さんの活動の幅は広い。
「笑いは好きなんですが、大人計画の先輩方のようなセンスはなくて、若い頃はコンプレックスを持っていました。でも、全員が笑いを仕掛けるのではなく、普通の感覚を持つ人がいたほうがいいと松尾さんに言っていただいて救われました」
近藤さんが多くのカンパニーに呼ばれる理由に、市井の人ができること、受けの芝居ができることに加えて、客観性を持っていることもあるのではないか。大人計画では、最初は演出助手として参加していた。
「俳優として、それがいいかどうかはわかりませんが、作品全体のことを見てしまう癖はありますね」
今回、相手役に気遣うことなく、自由にできる一人芝居で近藤さんがどれだけ弾けるのか、乞うご期待!
「語弊があるかもしれませんが、失敗してもいいやという気持ちもあるんです。それよりも未知の世界に挑戦するほうが楽しそうだなって(笑)」
せたがやアートファーム2025『キャプテン・アメイジング』
作:アリスター・マクドウォール
翻訳:永田景子
演出:田中麻衣子
東京公演:7月26日(土)〜8月3日(日)、シアタートラム。出演:近藤公園、田代万里生、松尾諭(トリプルキャスト)。(問)世田谷パブリックシアターチケットセンター TEL:03-5432-1515
愛知公演:8月23日(土)〜24日(日)、春日井市東部市民センター。出演:松尾諭(23日)、近藤公園(24日)。(問)かすがい市民文化財団 TEL:0568-85-6868
『クロワッサン』1145号より
広告