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「猫との不思議エピソード」集──獣医師による解説付き

犬や猫と一緒に暮らすと気づかされるのが、人間では想像もつかない能力や意外な一面。その不思議なパワーの理由はどこにあるの? 知るほどに愛犬や愛猫をより深く理解できる。「かわいい」だけじゃない、彼らの謎を獣医師・松原且季さんが解説。

文・黒田 創 イラストレーション・ニャンパッチ

飼いたいと思っていたタイミングで現れた子猫

「猫との不思議エピソード」集──獣医師による解説付き

義母が施設に入ることとなり空いてしまった一軒家に引っ越しを決めた11月。妻とは、ペット飼いたいね、黒猫がいいな、子猫譲ってくれる人はいないかな、と黒猫のアニメを見たりユーチューブを見たりして話していました。

ある寒い夜、勤務先の駐車場でいつもならすぐ車に乗るのですが、その日だけは同僚と5分ほど話し込んでしまいました。ふと子猫の鳴き声を聞き、慌てて声のほうを探すと、一匹の小さな小さな猫が箱に。まだ目も開いていない、へその緒が付いている真っ黒な子猫。このままでは死んでしまうと思い、連れて帰りました。

1年3カ月経った今は、5キロに成長。一軒家へ引っ越すタイミングで黒の子猫が欲しいなと思っていただけ。いつもならすぐに帰宅するはずなのにあの日だけ5分ほど話し込んでしまった。そして数回だけ鳴いて存在を知らせてくれた子猫に、不思議な縁を感じました。成長してもほとんど鳴かない猫です。そして毎日楽しい日々を与えてくれます。


解説
これは猫の特殊能力というより、飼い主さんと深い縁があって出合ったのだと思います。末永く大事にしてあげてくださいね。(松原さん)

猫がランプの紐を引いて消す

「猫との不思議エピソード」集──獣医師による解説付き

祖母が飼っている老猫は、祖母が電気を消し忘れると、ジャンプして紐を引っ張って消してくれるそうです。消し忘れていない時は特に紐で遊んだりもしないので、不思議です。


解説
猫は一緒に暮らす飼い主の模倣をする習性があります。このケースも、いつもおばあちゃんが電気の紐を引っ張って消しているのをよく見ているので、消し忘れた時は代わりに引っ張ってあげているのでしょう。猫はレバー式のドアノブを開けたりもしますよ。

飼い主の足音を聞き分けている

「猫との不思議エピソード」集──獣医師による解説付き

我が家は夫と二人で集合住宅の2階に住んでいます。同じフロアには5、6軒の部屋があり、安普請なのか建物の階段を上がる音がけっこう聞こえます。夜に、私が猫と一緒に夫の帰りを待っていると、階段の音が何回か聞こえるのですが、猫は知らんぷり。でも夫が帰ってくる時だけは階段の音がするとすぐに玄関まで迎えに行くのです。夫に聞くと、私が上る音も聞き分けているようです。人間の耳にはどれも違いがわからないのですが……。


解説
猫は学習能力が高く、飼い主の生活音やにおい、生活時間を学習している可能性が高いです。猫は基本的に単独行動なので、飼い主が出かける際は大抵無視しますが、帰ってきた時はエサを貰えるなどの「いいこと」と結びつくので出迎えてくれることが多いです。

寺の猫が、おりんの音にだけ反応する

「猫との不思議エピソード」集──獣医師による解説付き

親戚のお寺で飼っている老猫は、子猫のころから大人しく、いつも寝てばかり。毎日のお経の時も、わざわざ部屋に入ってきて、ずーっと眠ってます。不思議なのが、お経中はずっと寝てるのに、最後のおりんの音が鳴る時だけ起き上がるんです。


解説
お寺で使う「おりん」はとても高い音が出ます。猫は特に高音に対して敏感ですので、寝ていても反射的に反応してしまうのでしょう。特にお寺のお坊さんは低い声でお経を唱えていますので、より一層おりんの高い音色が際立つのかもしれません。

  • 松原且季 さん (まつばら・かつき)

    ヴァンケット動物病院院長

    日本獣医がん学会獣医腫瘍科Ⅱ種認定医、日本獣医腎泌尿器学会認定医。2021年、東京・世田谷にヴァンケット動物病院三宿動物医療センターをオープン。高度な外科手術にも対応。banquet-tokyo.jp

『クロワッサン』1140号より

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