「べるもんた」で“きときと”食の旅──観光列車で移動中も富山を堪能(1)
撮影・黒川ひろみ イラストレーション・洞 智子 文・長谷川未緒
走るギャラリーから、雄大な景色を味わう
高岡駅を起点に、山側に延びる城端線と、海側に延びる氷見線を走る観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール(べるもんた)」。額縁風の窓や伝統工芸の彫刻が施された車内はギャラリーのよう。車窓からは屋敷林に囲まれた切妻屋根の立派な家がのどかな田園風景に点在する散居村や、富山湾越しに立山連峰を望む雨晴海岸などを眺められる。列車名のフランス語“美しい山と海”が表すとおりだ。また車内にはすし職人が乗車し、握りたての鮨を味わえる。刻一刻と変わる美しい景色と、富山の新鮮な海の幸を楽しみたい。
氷見漁港場外市場 ひみ番屋街
氷見漁港直送の魚を使った回転寿司、最高級の黒毛和牛・氷見牛、人気の氷見うどんなどの飲食店が並ぶ。また、暖流系と寒流系の魚が住み、天然のいけすといわれる富山湾の豊富な海産物メインの土産物店も。ここだけでグルメもお土産も揃う、氷見の食の魅力が詰まったスポットだ。源泉掛け流しの天然温泉「氷見温泉郷 総湯」も併設。立山連峰の絶景が眺められる無料の足湯もある。
氷見魚市場食堂
江戸時代から150年以上続く、魚問屋が経営する飲食店。市場の2階にあり、その日に水揚げされた魚がどこよりも早く届く店だから、新鮮さは折り紙付き。厚めに切った刺身が豪快に盛られた海鮮丼が名物で、春はアジ、サヨリ、ホタルイカなどがメイン。早起きして朝の漁港の競りを眺めてから、ここで朝ごはんにするのもいい。行列必至なので、休日は徒歩5分の姉妹店『ひみ岩壁市場』もおすすめ。
薪(まき)の音
里山の静かな集落にある、1日3組限定のオーベルジュ。朝食は、目の前の田んぼで栽培された米をかまどで炊き上げたご飯に、田舎風の干し野菜などを使った和食。夕食は、箸で食べられる里山フレンチ。黒部名水ポークや、自家菜園の野菜は素材の味の濃さに驚かされる。フレンチといってもご飯と味噌汁で終わるのが薪の音流。南砺市のワイナリーの地ワインも多く揃い、ペアリングコースも魅力的。
三郎丸(さぶろうまる)蒸留所
北陸で最初にできたウイスキー蒸留所。1862年創業の若鶴酒造が母体で1952年にウイスキー製造を始め、所在地にちなみ現在の名前に。本場スコットランドのピートと大地に磨かれた庄川の伏流水を使用。地元職人と開発したミズナラ材の樽などで、繊細な味わいの多い日本産では珍しくスモーキーで深みのあるウイスキーを製造。要予約で試飲ができるガイド付き見学(4,000円。お土産付き)あり。
『クロワッサン』1139号より
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