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京都旅の思い出は佳味と共に。あの店の特別な一皿

京都に縁のあるおいしいもの好き6人が思わず唸った、名店の味。思い出話も交えて、京都の愉しみを伝えてくれました。

イラストレーション・村上テツヤ 文・黒澤 彩

「TADKA(タルカ) 1」のフルミールス

坂井真紀(さかい・まき)さん
俳優
多くの映画、テレビドラマ、舞台に出演。現在、『ホットスポット』(日本テレビ系)、『ゴールドサンセット』(WOWOW)に出演中。 

スパイスのバランスに感動! 無我夢中で平らげました。

京都在住の友人が「絶対に食べてほしい」とすすめてくれた南インドカレー。とても人気のお店だとは聞いていたので開店より少し前に行ってみたところ、すでに10人ほど並んでいて驚きました。なかにはお一人で並んでいるおばあさんも。きっと地元の方々にも愛されているんですね。路地裏の小さな食堂といった佇まいで、内装やインテリアの一つひとつにもこだわりが見てとれ、とてもかわいい。

そして肝心のカレーの味はというと、今のところ、私の人生でナンバーワンです。ミールス(南インドの定食)が好きで、よく食べに行くのですが、お店によってスパイスの調合が違っていて、そこには店主さんの好み、思い、人生まで詰まっているように思います。『TADKA 1』のスパイス使いは絶妙としかいえないほど見事で、実際に「絶妙!」と叫んでしまいました。このお店を紹介してくれた友人に感謝です。

フルミールス2,300円。
フルミールス2,300円。

◆京都市中京区左京町138 
TEL.075・212・8872 
営業時間:モーニング(金・土曜のみ)8時〜10時、ランチ12時〜16時(15時30分LO) 日・月曜休。

「竹香(たけか)」のえびかやく巻き揚げ

こてらみやさん
料理家
レシピやフードスタイリングなどさまざまな形で食の楽しみを発信。『キユーピー3分クッキング』(CBCテレビ)の講師も務める。著書に『まいにち お漬けもの』など。

慣れ親しんだ地元の味は、卵色の京風春巻き。

私にとって、春巻きといえばこれ。ふつうは、こんがりきつね色に揚がったパリパリのものを想像しますよね? それも大好きですが、京都の春巻きは卵と強力粉を使った薄焼き卵のような皮が特徴。『竹香』でも独自の配合で手作りしているそうです。えび、筍、しいたけ、豚肉が入っていて、しっとりおいしい。細長いのを一口大に切り分けてあって食べやすいのもいいですね。からし酢醤油をつけていただきます。

実はこちら、実家から徒歩1分のご近所にある幼なじみの店なんです。帰省するたびに由美ちゃん、いえ、女将の永田由美子さんの顔を見がてら、春巻き、やきめし、レタス包みなどを食べます。いわゆる京中華の特徴で、にんにくをあまり使わない、油少なめのあっさりとした味わいの広東料理です。

子どもの頃は2階のお座敷で親戚の集まりがあって、コース料理のデザートもお楽しみでした。大学芋のような芋あめ煮と杏仁豆腐も懐かしい味。以前は私たちのような地元客ばかりでしたが、最近は観光のお客さんも増えて、開店前から並んでいることもあります。どれほど忙しくてもにっこり笑顔で迎えてくれる女将に会うと、心からほっと和みます。

えびかやく巻き揚げ1,210円。
えびかやく巻き揚げ1,210円。

◆京都市東山区橋本町390 
TEL.075・561・1209 
営業時間:17時〜21時(20時20分LO) 火曜休。

「うちだ」の穴子のフリット生春巻き仕立て

高橋マキ(たかはし・まき)さん
ライター、編集者
京都在住。とんでもない顔ぶれの113人が寄稿するアンソロジー本『吉田屋とわたしたち』を編集。著書に『ときめく和菓子図鑑』など。

あの味をもう一度。レシピを継承した心意気に拍手!

かつて、御所南の路地裏に『吉田屋料理店』がありました。女将がいつかどこかで味わった世界の料理をアレンジして食べさせてくれる愉快な店で、これもその一つ。生春巻きをオープンサンドのように仕立てていて、サーブされたときの驚きもさることながら、熱々の穴子天ぷらにらっきょうとチリのソースがベストマッチ。ガブリと口に含んだときの至福の瞬間まで楽しく、すぐにまた食べたくなる一皿です。食べ方は、「まずはソースを好きなだけかけて、ほな、下のサラダ菜から全部クルッと巻いて、はい、あとはご自由に召し上がれ〜」という具合。

これを今も味わえるのは、『うちだ』店主のmaimaiさんのおかげ。吉田屋料理店で長年アルバイトをしていた彼女が、名物料理を「吉田屋遺産」として受け継いでくれたのです。お店は京都駅からタクシーで10分ほどの場所にある、シックな町家で営業されています。紹介制ではないのですが、住所を公開しておらず、〝検索できない店〟というところもかえって魅力になっているようです。maimaiさんは金工作家でもあり、ご自身や仲間のクリエイターの作品が飾られた店内で、おいしい料理とお酒を気軽に楽しめますよ。

私は下戸なのですが、「アテちょい盛り」から始めて握り寿司で〆るのが定番です。

穴子のフリット生春巻き仕立て650円。
穴子のフリット生春巻き仕立て650円。

◆予約はインスタグラム@maimainokatachiのDMで。
営業時間:17時30分〜22時30分LO 日・月曜休、不定休。

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