日本人の3分の1が脂肪肝という時代、肝臓をケアして痩せ体質になる生活習慣7カ条。
イラストレーション・John Danon 文・恒木綾子
肝臓をいたわったら、ほとんどの人がわずか3カ月で痩せるという事実。
「これまで何をしても痩せなかった人は、肝臓を見直してみてほしい」というのは、肝臓外科医の尾形哲さん。
「肝臓は吸収した栄養分を体内で使える形に分解したり、合成したりして作り変える臓器。食事で取り込んだブドウ糖をグリコーゲンや中性脂肪に変えて貯蔵して、必要なときに再びブドウ糖に戻して放出させたり、脂肪の消化吸収を助ける胆汁を作ったり、“身体の化学工場”のような役割を担っています。ですから、肝臓の機能が悪化すると、栄養素の代謝がうまくいかず、太りやすい体に。逆を言えば、肝臓をいたわることで、痩せやすい体になるのです。事実、肝臓が元気になると8割の人が3カ月で5㎏痩せるというデータもあります」
日本人の成人の3人に1人が脂肪肝。原因は糖質の過剰摂取に!
痩せ体質をつくるのは健やかな肝臓。しかし、現代は日本の成人の3分の1が脂肪肝という病気に罹患しているそう。
「脂肪肝は中性脂肪が肝細胞の中に多く蓄積した状態。中でもアルコールを飲まなくても生じる非アルコール性脂肪性肝疾患の人が増えています。とくに女性は40代になると、内臓脂肪をつきにくくするエストロゲンの分泌が低下し、脂肪肝になりやすい状態に」
脂肪肝の原因は、糖質過多の食生活。
「肝臓に溜まる脂肪の原因は、食べ物から摂る脂肪より糖質のほうが大きい。ですから、糖質を減らす食生活こそが脂肪肝を改善する一番の近道。とくにトウモロコシ由来の果糖ブドウ糖液糖という甘味料が入った甘い飲み物・加工食品や、白ごはん・パンなどの精製糖質には要注意です」
脂肪を落として肝臓が元気になると、 基礎代謝が上がって痩せやすくなる。
肝臓をいたわることで痩せやすい体になるのは、基礎代謝量がアップすることが一番の大きな理由。
「肝臓は24時間365日エネルギーを使い続けてくれている臓器なので、脂肪肝の人は就寝中のエネルギー消費量も少ない状態。肝臓についた脂肪を落とすことで、基礎代謝量がアップして痩せやすい体になります。また、解毒力が上がって疲れにくくなったり、肝臓には免疫細胞が多数存在しているため、機能が回復すると感染症にかかりにくくなるメリットも。結果、よりアクティブな生活が送れるようになり、ますます太りにくい体になっていきます。見た目の年齢は変わらなくても、しっかりいたわってあげることで肝機能は20代に戻すことができるのです」
人が生きていくなかで消費するエネルギーの6割が基礎代謝。そして基礎代謝の中では肝臓が4分の1以上を占める。
脂肪肝にまつわる思い込みを解消しよう
脂肪肝の原因は、油の摂りすぎ?【×】
主な理由は糖質の摂りすぎです。
「脂肪肝と言われると、肉の脂身や揚げ物など、脂っこいものを減らせば治ると思われがちですが、油が直接影響するのはわずか14%。食事から摂ったものの中では、糖質から肝臓で合成される脂肪が26%と、倍近い影響力があります」
お酒を飲みすぎると脂肪肝になりますか?【△】
ビール1日500mlまでなら、健康上の影響はわずか。
「アルコールが一番肝臓を脂肪化させる飲み物なので、すでに脂肪肝の人は控えるべき。ただし、健康な人は1日当たりの純アルコール摂取量20g(ビール500ml程度)であれば、肝障害を引き起こすリスクは低いです」
発酵食品のヨーグルトや甘酒を毎日摂っています。【△】
甘さのあるドリンクタイプや米が原料の甘酒は控えめに。
「健康のために飲んでいる乳酸菌飲料や甘酒も肝臓には悪影響。乳酸菌飲料は果糖ブドウ糖液糖がたっぷり含まれていますし、甘酒は砂糖が入っていなくても材料がお米なので糖質が高いです。控えめにするのがベター」
砂糖ゼロの飲料なら大丈夫ですか?【△】
食欲を増進する成分が入っています。
「砂糖は入っていなくても、カロリーゼロを謳っているドリンクには甘みを出すために人口甘味料が使われています。人工甘味料そのものでは太りませんが、食欲増進作用があるため、できるだけ控えたほうがいいでしょう」
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