ジャーナリスト・安藤優子さんがインスタを始めて感じたこと、変わったこと。
まずは積極的に挑戦する安藤優子さんの心おどるデジタル生活を参考に。
撮影・出地瑠衣 ヘア&メイク・徳田郁子 文・板倉みきこ
インスタグラムは平凡でなにげない日常の積み重ね。 長年、報道に身を置いたからこそその愛おしさがわかるのです。
20代から報道の一線で40年ほど活躍。災害や紛争の現場を取材し、非日常の世界を発信し続けてきたジャーナリストの安藤優子さん。情報収集ツールの一つとして、SNSも巧みに利用しているのかと思いきや、使い始めたのはわずか3年前というから驚きだ。
「そもそも、SNSに関してはニュースだとネガティブな情報のほうが多く、敬遠していたくらいなんです。また仕事上、公私をしっかり区別してきたので、最初は自分のプライベートを見せることにも抵抗がありましたね」
そんな安藤さんも今や人気インスタグラマーのひとり。毎日のコーディネイトや料理のレシピ、愛犬・リンゴちゃんとの暮らしをつぶさに発信している。
「ニュース番組を卒業したタイミングで『せっかく時間があるんだから、インスタでもやってみれば?』とマネージャーに言われたのがきっかけです。最初は何を撮ればいいか、撮り方もわからず、茹でたほうれん草をアップして『この緑の塊は何ですか?』って質問されたほど(笑)。
洋服のコーディネイトの写真を上げたら『頭が大きく見えてしまっています。スマホを逆さにして撮ってから加工するといいですよ』なんてアドバイスをくださる方もいました。もともと好奇心旺盛なタイプなので、自分でもいろいろ工夫するようになり、だんだんと面白くなっていきましたね」
自宅から動画配信。おすすめの調味料から時事問題まで。
インスタグラムで「キッチンで話そ!」という動画も配信。食いしんぼうで料理好きな安藤さんの「だいたいで作れる」レシピを紹介。料理中に語る時事問題トークも聞き応えあり。撮影はスマホで。https://www.instagram.com/yukoando0203/
愛犬のリンゴは私の相棒です。インスタでも人気者。
撮り続けた写真から見えてきた日常の奇跡。
インスタを始めたことで、様々な発見や心境の変化もあった。
「フォロワーの方たちとの距離が近く、双方向のやり取りができるのが、テレビにはない魅力的な部分だと実感しています。誹謗・中傷など暴力的な使われ方をされるのは問題ですが、使い方に注意を払えばとても絆の深まるコミュニケーションツールになる……。この歳になって初めて知った収穫です」
同時に、等身大の自分を発信し続けたことで、当たり前の日常がどれほどありがたいものなのかも痛感した。
「非日常の現場を多く見続けてきましたから、なおさら日常が奇跡に思える。今までと全く違う視点で世界を切り取れたのがインスタでの最大の発見です」
新たな視点は、読者にもきっと生まれるはずだと安藤さん。
「インスタを使うと、自分の生活を記録して第三者的に見ることができます。すると、好きなものを再確認したり、改めて自分らしさにと気づくことも……。たとえば、散歩中に『こんなところにお花が咲いてるんだ』なんて、以前は気にもしていなかったところに目が行きます。インスタのために気になることを見つけたり、写真に収めたいものを探すようになると、普段の生活に彩りが増える気がしますね」
ファッションコーデの自撮りは加工なし。報道出身ですから!
『クロワッサン』1115号より
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