暮らしに役立つ、知恵がある。

 

減塩しながらおいしさそのまま、出汁の旨みは、最高の調味料。

食材の旨みを引き出し、味わいと香りを添えてくれる出汁は極上の調味料。
さまざまな出汁使いを身につけて、おいしく減塩を叶える技を伝授!

撮影・小川朋央 スタイリング・荻野玲子 構成&文・中條裕子 撮影協力・UTUWA

旨みがしっかり感じられると、味付けに使う調味料の量が自然と少なくなり減塩にもつながる、と藤井恵さん。

「味にメリハリをつけながら、楽しく食べることが減塩を長続きさせるコツ。それには出汁をうまく取り入れて。塩分を減らしても、旨みや香りを足せば、物足りなさは感じません」

お馴染みの食材では、昆布に含まれるグルタミン酸、干し椎茸のグアニル酸、煮干しや鰹節のイノシン酸、この3つが代表的な旨み成分。これらのうち、植物性と動物性の食材を合わせると、旨みの相乗効果が生まれ、おいしさも増す。じっくり煮出した合わせ出汁は、味や香りも強くまさに極上の調味料。より手軽にという際には、1種を水出しするという方法も。もう一つのおすすめは、自家製の粉末出汁。

「旨みと栄養が全て摂れ、出汁がらも出ません。たとえば、干し椎茸と干しエビ、昆布と煮干しなどを、一緒にすり鉢やミルミキサーで粉末にして。味噌汁や煮物、お浸しなど、粉が目立たない料理に使うといいでしょう」

また、出汁を取らず、食材から出る旨みを生かして調理する技も。乾物などの旨みを汁に移し、それを汁ごと素材にまとわせると、味が染み込んで塩分が少なくとも満足度の高い一品に。

減塩しながらおいしさそのまま、出汁の旨みは、最高の調味料。

出汁があれば、味が決まって減塩も叶う!

昆布と鰹節で、基本の合わせ出汁の取り方。

減塩しながらおいしさそのまま、出汁の旨みは、最高の調味料。

水1Lに10gの昆布、20〜30gの鰹節を用意。昆布出汁は火にかける温度帯が大切。60度が一番旨みが出やすいので、あまり熱しすぎないようにして。

1.鍋に水と昆布を入れて火にかけ、ふつふつ細かな泡が出てきたら弱火にし、温度を保ちながら15分くらい煮る。
2.鰹節を加えて強火にする。
3.一度沸騰させて火を止め、鰹節が自然に沈むまでおく。
4.鰹節をできるだけ鍋底に残すように濾す。さらし布を敷いたザルに上澄みだけを静かに注ぐようにすると、雑味の少ない出汁に。鰹節が少し混ざって濁りがあっても、少し時間をおくと透明になる。

減塩しながらおいしさそのまま、出汁の旨みは、最高の調味料。

より手軽にできる水出しで一晩おくだけの方法も。

水に対して3〜4%の量の煮干しを用意。煮干しはえぐみを出さないようエラだけを取り除き、頭はつけたまま、さっと軽く香りを立たせるように炒っておく。このひと手間で、水出しでも臭みが出ない。水出しは一晩おくだけと気軽にでき、旨みをじっくり引き出せる。2種以上を合わせるとより濃厚に。

減塩しながらおいしさそのまま、出汁の旨みは、最高の調味料。

合わせ出汁の旨みを味わうなら、まずはこの2品。

減塩しながらおいしさそのまま、出汁の旨みは、最高の調味料。

●鰹昆布出汁の酢の物

柔らかな酸味の出汁にエビからの旨みも加わり、糖分や塩分を控えても味わい深く感じられる。生姜の香りもきいた汁ごと食べられるよう、汁気はぜひたっぷりと。

【材料(2人分)】
ボイルエビ100g
きゅうり1本
塩小さじ1/5
わかめ(塩蔵)30g
生姜1かけ
A[合わせ出汁1/2カップ、酢大さじ3、みりん(煮切る)大さじ1、砂糖小さじ1、薄口醤油小さじ1、塩小さじ1/3]

【作り方】
1.きゅうりは薄切りにして塩をまぶし、しんなりしたら水気を絞る。わかめは洗ってたっぷりの水で5分戻し、ひと口大に切る。生姜は細切りにし、エビは殻や尾があれば除く。
2.混ぜ合わせたAにエビ、生姜、きゅうり、わかめを加えて和える。

減塩しながらおいしさそのまま、出汁の旨みは、最高の調味料。

●茶碗蒸し

あえて具材は入れず、鰹と相性のよい梅の風味を合わせた茶碗蒸しは、出汁を味わうのにもってこいの一品。卵液はもちろん、とろりとしたあんにも出汁をきかせて。

【材料(2人分)】
卵2個
A[合わせ出汁300ml、塩小さじ1/3、醤油小さじ1/2]
B[梅肉小さじ1、合わせ出汁大さじ4、みりん小さじ1/2、醤油少々]
C[片栗粉小さじ⅓、合わせ出汁小さじ1]、三つ葉少々

【作り方】
1.ボウルにAを入れて混ぜ、卵を加えて溶きほぐして濾す。
2.耐熱容器に1を等分に入れてラップをかけ、蒸気の上がった蒸し器に入れて強火で3分、弱火にして少し蓋をずらし、12〜15分蒸す。
3.小鍋にBを入れて煮立て、混ぜ合わせたCを加えてとろみをつける。
4.2のラップを外し、3をかけて三つ葉をのせる。

  • 藤井 恵

    藤井 恵 さん (ふじい・めぐみ)

    料理研究家、管理栄養士

    TV、雑誌、書籍、新聞などで活躍。近刊に『藤井恵の「粉だし」のすすめ』『THE藤井定食』ほか、YouTubeチャンネル「藤井食堂」も人気。

『クロワッサン』1102号より

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