こつこつと作り上げた、校正者・牟田都子さんの「妥協しない」インテリア。
さまざまな工夫やアイデアを校正者・牟田都子さんに教えてもらいました。
撮影・三東サイ 文・嶌 陽子
こつこつと作り上げた、見た目も機能も満たす家。
窓から公園の緑が見える、明るいダイニングスペース。行きつけの家具店で買ったというダイニングテーブルは、牟田都子さんの仕事場でもある。
仕事をする際は、そばにあるチェストから仕事道具一式を取り出し、終わったらすぐにしまう。家で過ごす時間が長い分、見て嫌にならない景色を保つことを大事にしているという。
「部屋やテーブルの上が散らかっているのが気になるので、ものは定位置に戻すようにしています。見た目の心地よさと同じくらい、機能性も大事。不精なので、道具を出し入れする際は少しでも楽したいし、そのための配置を考えるのは昔から好きです」
夫婦二人で暮らすマンションには、牟田さんが好きな雑貨やオブジェ、夫が集めている郷土玩具、それぞれが所有する本などが並び、ものの量は決して少ないとは言えない。けれど、使いやすい位置に置かれた程よいサイズの家具、壁面を生かした収納など、随所に工夫がこらされた空間は、不思議とすっきりしていて居心地がいい。
「買い物が好きで、雑貨店にもよく足を運びます。ただ、ものを買う時は色のトーンを揃えるように気をつけているかも。可愛いと思う色の器や雑貨を見つけても、我が家の景色には合わないと思って諦めることもありますね」
その時々に感じる快適さに合わせ、住まいもアップデートしていく。
家具や日用品は、本当に気に入ったものを見つけるまで決して妥協しないという牟田さん。家の中には何年もかけて探したという家具もある。
「若い頃は待てずに買ってしまって、結局手放すということもよくありました。これまでにかなりの授業料を払ってきたかもしれません(笑)」
昔からインテリア好き。約20年前に一人暮らしを始めて以来、雑誌や本も参考にしながら好きなものを揃え、使いやすいように工夫する日々。結婚してからは、夫と自分の好みを擦り合わせながら、二人ともが快適と思える空間をこつこつと整えてきた。今の住まいは、さらに改善したいことはあるものの、とても気に入っていると話す。
「とはいえ、これから年齢とともに変化はあるはず。ものが多くて掃除をしづらいと感じるようになったり、重い道具を使うのがつらくなってくるかもしれません。その時々の快適さに合わせて、家もアップデートしていきたいですね」
時には家具を塗り替え、自分好みにカスタマイズ。
雑誌で見て以来、憧れていたイギリスのアーコールチェア。30歳の時、東京・吉祥寺に引っ越した記念にネットで探して購入。元はこげ茶色だったものを白く塗った。
吉祥寺の家具店『トランジスタ』で購入したチェストに仕事道具を収納。「日本の住宅に合うよう、サイズが小さめに作られた日本製。A4のゲラもぴったり収まります」
ダイニングの一角には20代の頃、誕生日ごとに1つずつ買っていたシェーカーボックスが。名刺や切手、植物の種、茶道具、便箋、過去の手帳など、1箱に1ジャンルと決めて、こまごまとした日用品を収納。
ダイニングに置いた棚には夫のCDコレクションが。もともと茶色だったものをペンキで白く塗った。奥にある椅子も白くペイント。壁になじんですっきり見える。
壁を有効活用して吊るしたり、飾ったりします。
エッセイストの石黒智子さんをお手本にして、キッチンツールはバーに吊るして収納。「バーはホームセンターで購入。賃貸暮らしなので、ネジではなく、取り外せるシールで壁に固定しています」
鍋は吊るして、包丁やハサミはマグネットバーに取り付けて収納。「それぞれの道具の配置場所も使い勝手を考えて決めています。すぐ手に取れるし、キッチンの掃除も楽です」
古道具店で買った木箱を白く塗って廊下の壁につけ、夫が集めている郷土玩具を飾る棚に。「自分の趣味だけで家を整えるのではなく、夫の好きなものも飾ったり、家具や大きめの雑貨を買う時は必ず夫に相談したりしています」
吉祥寺の『CINQHOME(サンクホーム)』で購入した古いガラス戸棚。フック付きピンで壁に固定し、アクセサリーを収納。アクセサリーは「装身具LCF」のものがほとんど。
ロフトで買ったフック付きのピンを使って絵を壁にかけている。「雑貨店などをちょくちょくのぞいて、便利な道具を探しています」
ものが多くてもすっきり、目に心地よい景色を大切に。
壁一面の本棚が目を引くリビング。コーヒーテーブルは『トランジスタ』で購入。「『食事もしたいなら、高さがあるといい』など、店主にアドバイスをもらいながら5〜6年ほど粘って探しました」
何でも妥協せずに、時間をかけて探します。
仕事で読む本を収納する棚をずっと探していたが、気に入るものが見つからず、かごで代用していた。最近、雑貨店で古い木箱を見つけ購入。「本がぴったり収まって大満足」
『クロワッサン』1090号より