井田典子さんが娘家族と暮らす2世帯住宅は、新婚時代から数えて5軒目の家に当たる。
窓の外には家庭菜園やレモンの木。キッチン、ダイニング、リビングがひと続きの空間がひと際ゆったりと感じられるのは、天井の高さもあるけれど、床がモノで塞がれていないせいでもある。井田さんは言う。
「ずっとギリギリのスペースで暮らしてきたから、やっとこの家で床の広がりを楽しめることが、私にとって一番のご褒美なんです」
2Kの借家に始まり、3DK、4LDKと家族が増えるに従い住み替えてきた。4軒目の家のとき、3人の子どもが次々に独立。そのたびに持ち物を残さないことを原則として子ども部屋をリセット。この家に引っ越すにあたってはさらにモノを厳選した。
「新しい家に引っ越すときって、どんな家具を置こうかと夢が広がりますよね。でもその前に過去を手放して代謝していかないと、次のステージには行けないと思います」