「私は子どもの頃、林を駆けずり回るような少女で、“女ターザン”なんてあだ名まで付けられたくらい(笑)。結婚した時は横浜の繁華街の近くに住んでいたので外食ばかりで、ご飯も炊けなかったんですよ。めずらしい料理をお店で食べていたら、自分でも作ってみたくなったんです。あやふやながらやってみると、意外とちゃんとした一品ができるのでそれが不思議で、おもしろくなって料理に熱中しました」
レストランでの経験だけでなく、食通の友人や近所の人からふと聞いたものなど、気になったものは決して放っておかない。そのうちの一つが「鶏スジ」だった。本書でも紹介のある鶏スジのスープは、甘糟さんにとっても、「伝えたい味」であり、「残したいレシピ」であるという。