ちょ待てよ、見なくてどうする信長? 映画『レジェンド&バタフライ』。
文・黒住 光
日本を代表する2大スター、木村拓哉と綾瀬はるかの10年ぶりの共演となる映画『レジェンド&バタフライ』。
2人が演じるは歴史上のスーパースター織田信長とその妻・濃姫。脚本は『ALWAYS 三丁目の夕日』『コンフィデンスマンJP』などのヒット作で知られ、新年スタートのNHK大河ドラマ『どうする家康』も手掛ける古沢良太。
監督は大河ドラマ『龍馬伝』、映画『るろうに剣心』シリーズの大友啓史。東映70周年を記念した総製作費20億円のビッグプロジェクトです。
わざわざ紹介しなくても多くの人が「これは必見」と思うでしょう。ここはあえて「ああ日本映画の大作ね、ハイハイ私は見ません」と思う人に「ちょ待てよ」と申し上げたい。
まずは、この映画がオリジナル脚本であること。原作ファンの動員が皮算用できないオリジナル企画に巨費を投じることが、今の邦画界でいかにチャレンジであるか。映画ファンならばその心意気に乗ってあげたいじゃありませんか。
「キムタクって何をやってもキムタクでしょ」と言いたい方々へ。高倉健はいつも高倉健、イーストウッドはいつもイーストウッド、それがスターです。本作は信長と濃姫の結婚から描かれますが、それは信長が15~16歳頃のこと。50歳で10代を演じて違和感ない俳優が木村拓哉をおいてほかにいるでしょうか。「いつもキムタク」ではなく「これぞキムタク」をご覧いただきたい。
「綾瀬はるかはカワイイけど……」と思う方々へ。彼女はすでにカワイイ清純派などではなく、和製シャーリーズ・セロンといっても過言ではない凛とした強い女性です。この映画はあえて有名な合戦シーンを描かず、政略結婚で結ばれた信長と濃姫の愛憎劇を、綾瀬はるかのキレのいいアクションを軸に魅せてくれるのです。さすがヒネリのきいた古沢脚本であり、天下の東映時代劇の底力。さあ、見なくてどうする?
\ココが見どころ!/
数々の合戦から本能寺での最期に至る織田信長の一生は何度も映像化されてきました。誰もが知る史実の裏側で、もしかしたらこうだったかもしれない信長と濃姫の物語が、大胆な発想で描かれています。
ラブストーリーでありアクション映画でもある本作。アクションシーンの合間にラブシーンが挟まれるというのではなく、アクションの高まりとラブの高まりがシンクロしていく脚本と演出、それに応える主役2人の熱演が見どころです。
監督:大友啓史 脚本:古沢良太 出演:木村拓哉、綾瀬はるか、伊藤英明、中谷美紀ほか 1月27日より、東京・丸の内TOEIほか全国公開。
『クロワッサン』1085号より