痩せたいならまず”腸”を整える!【戸田菜穂さん・石原新菜さん対談】
撮影・青木和義 スタイリスト・大沼こずえ(戸田さん) ヘア&メイク・松岡奈央子(戸田さん)、天野誠吾(石原さん) イラストレーション・村田善子 文・石飛カノ
目標は、 溜めないカラダ。
痩せたいならまず“腸”を整える!
私たちのお腹の中の腸内細菌は1000種類、100兆個とも。きれいなお花畑を育てるように「腸活」に励みましょう。
戸田菜穂さん(以下、戸田) 「腸活」という言葉をとくに意識していないんですけど、腸にいい食べ物は好きです。納豆とかキムチとかコンニャクとか、腸によさそうなものを自然に食べています。
石原新菜さん(以下、石原) 素晴らしいですね。お腹の調子はいいですか?
戸田 はい、困ったことはないです。母が食事に気を使ってくれていたので、子どもの頃から根菜類とか海藻とか魚とか、カラダにいいものばかり食べてきた気がします。
石原 お正月はとくにそういう食材を口にする機会が多くなりますね。保存のためにどうしても味付けが甘くなりますけど黒豆やレンコンなどには、腸内細菌のエサになる食物繊維が豊富です。
戸田 ご家庭で作られるときは少し味を薄くしたりするといいですよね。私もおせちは作ります。黒豆も煮ます。普段から食べたいくらい大好きなので。
石原 全部手作りですか? すごいですね!
戸田 料理が好きなんです。それと、お友だちからすごく美味しいぬか床をいただいて、ぬか漬けをやっているんですけど、やっぱり腸にはいいんですか?
石原 ぬか床の中には善玉菌の乳酸菌がたくさん含まれています。同じ善玉菌でも乳酸菌は主に小腸にすんでいて、ビフィズス菌は大腸をすみかにしているので、両方とると腸全体が整います。
戸田 なるほど。ビフィズス菌をとろうとか、そういうことは考えてないですけどヨーグルトは食べます。知らないうちに乳酸菌もビフィズス菌もとれていたんですね。
石原 「腸活」というと、みなさんヨーグルトを思い浮かべますが、乳酸菌やビフィズス菌だけとっていてもダメ。善玉菌のエサになる食物繊維やオリゴ糖を食べてさまざまな善玉菌を増やし、お腹の中の菌の多様性を育むことが大事なんです。
戸田 うちの子どもたちは大丈夫ですね。きんぴらとかこんにゃくとかも好きでよく食べていて、きゅうりのぬか漬けはちょっと目を離したスキに全部食べているくらいですか
ら(笑)。
昔ながらの和食に腸活のヒントあり。
戸田 ところで先生、腸内環境が整うと痩せるって本当ですか?
石原 善玉菌が腸の中で短鎖脂肪酸という代謝物を作ります。この短鎖脂肪酸が血液の中に運ばれて脂肪細胞に届くと、脂肪細胞が脂肪を溜めにくくなるんです。逆に悪玉菌が多いと脂肪が溜まりやすくなることがわかっています。アメリカ人の肥満者の中には痩せるために日本人の便を買いたいという人がたくさんいるんですよ。
戸田 ええっ! なぜですか?
石原 日本人の腸には短鎖脂肪酸が比較的多いので、その便を移植して腸内環境を整えるためです。
戸田 へえ〜、初めて聞きました!
石原 でも腸内環境は食事の積み重ねですからね。
戸田 確かに。偏ったものばっかり食べていたら腸内環境は整わなさそう……。
石原 戸田家の食卓は肉と魚はどちらが多いですか?
戸田 半々くらいです。というのも肉などの炒め物をした後のフライパンを見ると、「このベタベタが血管につくのか」と思ってしまうから。調理した後の汚れが落ちにくいものより、洗うのが簡単な食事がカラダにいいかなって思います。
石原 おっしゃるとおり、タンパク質を摂ることは大事ですけど多くの人のタンパク源は肉。でも同じタンパク質でも肉には血液をドロドロにする脂が多く、魚には血液をサラサラにする油が多く含まれています。しかも魚に含まれるオメガ3と呼ばれる油は腸の炎症を抑えてくれるんですよ。
戸田 やっぱり昔の日本食がいいんですね。私は体重コントロールはとくにしていなくて、口の中を噛んだりしたとき太ったかなと思うくらい。そういうときにスーパーに行くと今の自分にはこれが足りないとか、今日の食事はあっさりでいいやとか自然に食材を選んでいます。
石原 ご自分のカラダと対話ができるんですね。パーフェクトです!
温活と適度な運動も腸の健康には必須。
戸田 カラダの冷えと腸内環境は関係があるんですか?
石原 脳と心臓、肺以外の臓器は全部お腹にあるのでお腹を温めることが大事です。血流が促されて腸の働きがよくなります。腸の壁にはパイエル板というリンパ節があって、そこに全身の免疫細胞の7割くらいがすんでいるんです。だからお腹を冷やすと免疫力が下がりやすく、温めると腸内細菌の働きもよくなります。
戸田 なるほど、面白いです! ぬか床も冷蔵庫から出してあげたほうが発酵が進みますものね。
石原 私は普段から腹巻きをしてお腹を温めています。
戸田 私も冬はこたつ生活で、お風呂では本を読みながら腰湯、夜寝るときは湯たんぽです。
石原 あとは腹巻きを取り入れれば完璧ですね(笑)。
戸田 食材だけでなく日本の昔ながらの生活習慣も腸にはいいんですね。それと先生、運動って腸の健康に役立つんですか?
石原 もちろんです。とくに下半身を動かすと腸の動きはよくなります。実際、テレワークで通勤をしなくなったことで腸の動きが悪くなり、便秘に陥ってる人が多くなっているんです。
戸田 歩くことが腸にいいんですね。うちではトイプードルを飼っていて、その子がお散歩をすごく楽しみにしているので朝夕、20分くらいは歩いてます。あっ、でもひょっとして自転車もいいんですか? 脚を動かしますよね。
石原 いいと思います。
戸田 この間、自転車で子どもたちと「探検に行こう!」と、1時間くらいかけて遠くまで出かけたんです。なんだかお腹がすっきりした感じがしました。
石原 食生活の乱れや運動不足で便秘をすると、排出されなかった老廃物が血液に再吸収されてしまうんです。それが肌の調子にも関係してきます。
戸田 再吸収!? 怖い! それは知らなかったです。
石原 あとは悪玉菌が作る毒素も血液の中に運ばれるので肌荒れにつながります。
戸田 肌のほうから信号を出してくれているんですね。そういえば私も撮影があるときは自然に腸によさそうな食材を選んでいます。子どもたちも根菜や海藻など腸にいい食べ物を好んで食べています。
石原 魚や発酵食品、腹巻きや湯たんぽ、そういう日本の文化を親から子どもに、子どもからその子どもにと知恵を伝えていくことはすごく大事だと思います。
戸田 先生、「汚れ腸」って言葉、ありますか? 母からよく、「腸が汚れたら万病の元になるから腸をきれいにするものを食べなさい」と言われていたんです。
石原 「汚れ腸」! 生クリームたっぷりの甘い飲み物を食事代わりにしているような人たちに当てはまりそうですね。日本人がなぜ長生きなのか、それは腸内環境と無関係ではありません。昔ながらの日本の食文化を改めて見直したいですね。
戸田 本当にそう思います。今日は勉強になりました!
戸田さん着用:ニット3万3000円、シャツ2万8600円、スカート3万5200円*すべて3月発売(以上レキップ TEL.03・6861・7698) イヤリング1万9800円(エテ TEL.0120・10・6616) タイツ、靴(スタイリスト私物)
『クロワッサン』1085号より