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捨てなくてもスッキリ!「並べ替え」の魔法でクローゼットが見違えた空間に。

今あるものを並べ替えるだけで、見た目すっきり、意識も変わる。
「捨てられない」人の片づけファーストステップとして、取り入れてみて。
整理収納アドバイザーの中山真由美さんに片付け術を教わりました。

撮影・青木和義 文・板倉みきこ

(Before)目当てのものが取り出しにくい状態。

コートやジャケット、シャツなどのオンタイムに使う洋服と、ゲスト用の布団などを入れるために使っている収納場所に、手当たり次第突っ込むようにモノを入れてしまった。ゴチャゴチャした雰囲気に惹かれたのか、布団の奥が子どもたちの格好のかくれんぼ場所となり、遊ぶたびに布団が崩れて散らかっていく、という悪循環を生んでいる。
コートやジャケット、シャツなどのオンタイムに使う洋服と、ゲスト用の布団などを入れるために使っている収納場所に、手当たり次第突っ込むようにモノを入れてしまった。ゴチャゴチャした雰囲気に惹かれたのか、布団の奥が子どもたちの格好のかくれんぼ場所となり、遊ぶたびに布団が崩れて散らかっていく、という悪循環を生んでいる。

(A)かさばるものを無作為に突っ込んで。
上部の棚には、夏用の肌がけ布団や替えのシーツを入れて。そのほか、何を入れたか忘れていた青い箱には、出産以来着ていなかった浴衣が入っていたことが判明。

(B)バラバラのハンガーが見た目の悪さを助長。
クリーニング店でもらってきた色違いのハンガーと、厚みのある木製ハンガーが混在。色が違うと見た目がごちゃつくし、厚みが異なるハンガーが並ぶと出し入れしにくくなる。

(C)楽しい遊び場になってしまった布団。
母親や友人が泊まる際に使う布団。この裏で子どもが遊ぶたびに崩れ、結果そのままに。ぬいぐるみなども放置され、クローゼット全体の雑然とした印象をさらに強くしている。

(D)使わなくなったテーブルの脚を保管。
この家に引っ越してきてから、一度も使うことがないテーブルの脚。いつか捨てようと思いながら、タイミングを逸して置きっ放しに。そのせいで収納スペースが奪われていた。

 ↓

(After)洋服の丈を並べ替え、ケースを揃えただけで激変。

スーツなど、形崩れが心配なものは厚手の木製ハンガーに、それ以外は薄手の黒のハンガーで統一。吊るす洋服の丈の長さ順に並べ替えただけで、かなりスッキリした印象に変わった。棚上は同じ色、形の収納用ソフトケースを使うと、統一感が出る。ソフトケースは立てても使えるし、使わないときは畳めるので便利な収納アイテム。
スーツなど、形崩れが心配なものは厚手の木製ハンガーに、それ以外は薄手の黒のハンガーで統一。吊るす洋服の丈の長さ順に並べ替えただけで、かなりスッキリした印象に変わった。棚上は同じ色、形の収納用ソフトケースを使うと、統一感が出る。ソフトケースは立てても使えるし、使わないときは畳めるので便利な収納アイテム。

(A)浴衣は関連小物も合わせて収納ケースに。
古い紙箱は捨て、紙袋に入れてあった帯や腰紐などと一緒にソフトケースへ。ケースには中に入れたものを書いたネームタグを付け、何がどこにあるか一目瞭然にした。

(B)かさばる寝具類をコンパクトに収納。
オフシーズンの夏掛けや替え用のシーツは収納ケースに入れれば、一瞬で棚の中がスッキリする。折りたたみ式ファスナーケースは立ててもしまえるので、すき間収納にも活躍。

(C)使うハンガーは厳選し、一時保管場所もつくる。
ピンクのハンガーは廃棄し、余った黒のハンガーは収納ケースに入れ、棚の右側に置き保管。丈の短い洋服を中央に、長いものは両脇に並べ替えて布団のスペースを確保した。

(D)同じ種類のものを集め、置き場を確保する。
クローゼット内にあったクッション類をケースにひとまとめに。今までどれも使っていなかったことから「今後廃棄するかも」とKさん。モノを把握できるのも並べ替えの利点。

実際行った片づけの流れはこんな感じ。

捨てなくてもスッキリ!「並べ替え」の魔法でクローゼットが見違えた空間に。

(出す)
洋服類を全部取り出すスペースを確保。床にレジャーシートを引くといい。袋に入ったままだった洋服も取り出す。何があるか、全て把握することが片づけの第一歩。着ていない服が多いことに気づくことも。

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捨てなくてもスッキリ!「並べ替え」の魔法でクローゼットが見違えた空間に。

(出す)
服以外のものを取り出す。寝具類、クッション類、浴衣関連など、グループ別に分類。使っていないテーブルの脚は、天板を置いてある場所へ移動。テーブル自体を取っておくかどうかは今後改めて考えることに。

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捨てなくてもスッキリ!「並べ替え」の魔法でクローゼットが見違えた空間に。

(分類する)
人別、目的別、種類別に分類。服は黒色の薄いハンガーに統一し(形崩れするものは木製ハンガーに)、丈に合わせて入れる場所を考える。ぬいぐるみなど、ここに置く必要のないものは別の収納場所に移動させる。

片づけのハードルを上げ、苦手な人を何度も挫折と自己嫌悪に陥らせているのは、片づけの正解が“モノを減らす”ことだと勘違いしているから、と整理収納アドバイザーの中山真由美さん。

「捨てたくないのに捨てなければ、と思う片づけは誰にとっても苦痛でしょう。人によってモノの必要量は違うので、全員が“モノが少ない家”を目指す必要はありません。大切なのは、モノがあってもなくても“心地よい部屋”をつくっていくことです」

そこで、片づけが苦手な人にこそ試してほしいと中山さんが提案するのが、何も捨てずに整えるだけでスッキリ見え、達成感も味わえる方法。

「一般的な片づけは、モノを全部出す、いらないものを捨てる、カテゴリーや種類で分ける、使いやすくしまうという手順で行います。でも“捨てる”工程を省くだけで、苦手な人の心への負担は激減します。あるものを使いやすく、見栄え良く整えるだけでいいんです」

今回は、小学校低学年と2歳のふたりの娘を持つ読者Kさんの家を実例に、中山さんが推奨する最も簡単な“捨てない”片づけ術を教えてもらった。

「リモートワークが増え、家で仕事、家事、育児と様々なことをしなければならないので、まとまった片づけの時間が取れません。気づけばモノが散乱し、ゴチャゴチャした印象に」(Kさん)

雑然とした印象を生むのは、なんとなくモノを置いてしまっているから。

「置き場所を決め、モノの向きを整えるだけで印象はガラッと変わります。ただ、最初から家全体に取り掛かろうとせず、その時の体力や注げる時間に合わせて片づける場所を決めましょう」

今回はクローゼットで実践。

「そこにあるものを全部出したら、人別や種類別に分類し、使う頻度を考えながら適した置き場所をつくっていくのが基本です。整えたところは頑張ってキープして、ほかの場所も並べ替えれば、家じゅうが片づいていきますよ」

  • 中山真由美

    中山真由美 さん (なかやま・まゆみ)

    整理収納アドバイザー

    お部屋と心のカウンセラー。「Ritta Stanza」主宰。片づけが苦手な人の心に寄り添うアドバイスに定評あり。https://rittastanza.com

『クロワッサン』1083号より

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