不眠、イライラ、気分の落ち込みに。セルフで押せる手足のツボ。
イラストレーション・中島陽子 文・長谷川未緒
そもそもツボとは何なのか。
「東洋医学において生きるための3大要素が気(き)(生命エネルギー)・血(けつ)(血液)・水(すい)(体液)。そのうち気・血の通り道が経絡です。ツボは全身に14本張り巡らされている経絡上の体表面にあり、不調に応じてなんらかの異常が生じ、治療のポイントとなります」
と、鍼灸師の柳本真弓さん。
14本の経絡はそれぞれ内臓とつながっているため、関係の深いツボを刺激することで、不調が緩和される。専門家の施術でなくとも、セルフケアにも取り入れられるのがうれしいところ。
「誰でも探しやすく効きやすいツボを紹介します。同じツボでも様々な作用がありますから、いろいろ試して、健康維持に役立ててください」
ツボの探しかた、押しかたとは。
ツボの位置はおおよそ決まっているものの、個人差や左右差がある。また体調等によっては同じ人のツボでも多少動くことがある。
「ツボを刺激する際は、毎回、色やかたさ、むくみ、くぼみなど、周りの皮膚と違うポイントを探してみてください。ツボに当たると、気持ちがいい、痛みが和らぐ、ずーんと響く感じがするはずです」
空腹時、満腹時は避け、5〜15秒ほど押してみよう。ツボを指で軽く押し、周囲の皮膚ごと動かすように回すのを3〜5回行っても。
筋を刺激したり、コリをほぐしたりするときは、人さし指、中指、薬指の3本を使って。
細い骨と骨の間や、くぼんでいるところにあるツボは、指1本の腹で柔らかく刺激する。
【手足にあるツボを刺激して、自分の力で不快な症状を改善しよう。】
よく眠れない
眠れないときは「失眠」が特効。指で押すほか、ゴルフボールなどを踏んで刺激して。冷えて寝付けないなら、血流を促す「照海」、体がだるくて眠りが浅いなら、緊張を和らげる「申脈」を。どのツボも、温めることでも効果がある。
●失眠(しつみん)
かかとの真ん中あたり。体の水分を外に排出するため、むくみにも。下半身の冷えも解消。
●照海(しょうかい)
内くるぶしの下から親指1本分下。倦怠感、月経痛のほか、アレルギー症状も緩和する。
●申脈(しんみゃく)
外くるぶしのすぐ下にあるくぼみ。肩こり、首こり、目の疲れ、ぎっくり腰にも効果あり。
イライラする
対人関係のストレスや、ホルモンバランスの乱れなどからくるイライラには「十宣」を。自律神経の働きを整え、更年期のほてりを鎮める効果も。指を1本ずつ、反対の手の指の爪を立てて刺激する。
●十宣(じゅっせん)
両手にある10本の指の先端中央。「宣」は、発散するという意味。免疫力アップにも。
気分が落ち込む
「神門」は、落ち込んだときや不安を感じたときに、気持ちを安定させてくれるツボ。不眠や動悸、息切れ、緊張、ストレスからくる便秘などにも効果あり。また、心配事が多くて考えがまとまらないときにも、おすすめ。
●神門(しんもん)
手首の内側にあるしわの、小指側の骨の横のくぼみ。「神」は精神の意味。物忘れにも。
『クロワッサン』1051号より