防災士がチェック! 玄関、トイレ、ベッドルームの防災片付けポイントとは?
片づけが必要なのは、家の中でのケガや事故を防ぎ、災害用備蓄スペースを確保するため。それは家族の命を守ることに直結します。さあ、今すぐ行動を。
撮影・上山知代子 文・一澤ひらり イラストレーション・小林マキ
写真家・上山知代子さんの住まいは、地下1階と地上フロアで構成されるメゾネットタイプのマンション。すっきりと片づいてはいるが、防災の手立てはほとんどしていないという。そんな現状を熊田明美さんがチェックした。
「大地震が起きたらかなり危険ですね。冷蔵庫や本棚など転倒防止対策をしていないし、割れやすいものが高い所に置いてあります。災害が起きたら転倒物や落下物でケガをしたり、通路が塞がれてしまうんです。停電時に自動点灯する明かりもないし、衛生用品、食料などの備蓄品も少ないですね」
防災対策の基本のキは家の中がきちんと片づいていること。
「災害時は気持ちが動転してパニックになりやすく、モノが散乱した室内はとても危険です。普段から家の中が片づいていればリスクを軽減できて、必要なものをすぐに取り出せます。不要なものを減らせば、命をつなぐために必要な水や食料などの備蓄スペースも確保できるんです。自然災害はいまや切実な問題。日頃の備えが大切ですね」
実際にどんな点に気をつけて、対策を施すべきなのか、見ていこう。
【玄関】
避難路の生命線。靴箱には備蓄品を。
Before
◎OK1
靴箱の上に割れ物がなく片づいている
◎OK2
靴が出しっぱなしになっていない
●NG1
スペースが余っている
●NG2
防災備蓄ができていない
After
玄関は避難口になるので転倒物は置かない。靴箱の扉ひとつ分に備蓄用品(懐中電灯と電池、使い捨てマスクと消毒剤、非常用トイレ、水)などを収めた。備蓄品は1カ所でなく分散収納しよう。
【テラス】
避難通路にもなる階段には何も置かない。
Before
●NG
植木鉢で足元が狭い
リビングは地下1階にあり、テラスから地上への階段は重要な避難通路だが、植木鉢が置かれている。これが地震時に落下して破損し、通路を塞ぐことにもなりかねない。
After
植木鉢を階段下に移動。残した植木鉢は壁と階段の3方に囲まれているので倒れにくい。
「階段にはモノを置かず、植木鉢は割れない素材に替え、強風時は室内へ」(熊田さん)
【バスルームの棚】
命を助ける水は、家の中に分散収納。
Before
●NG1
奥行きのない棚にCDがびっしり
After
●改善ポイント(A)
最下段に水を分散備蓄。
脱衣所にある収納棚は奥行きおよそ12cm。しかたなくCDを収納していたが、数を見直し整理。最下段を水の備蓄場所として確保した。
【トイレ】
断水、戸が開かない。トイレ対策は万全に。
After
●改善ポイント1(A)
閉じ込められた時のためにペットボトルと笛を備える。
地震でドアが歪むと閉じ込められる危険性が高いトイレ。緊急事態に備えてペットボトルの水と助けを求めるホイッスルを常備したい。
●改善ポイント2(B)
簡易トイレ、ポリ袋を分散備蓄しておく。
災害時のトイレ問題は深刻。断水したら水洗は使えないので簡易トイレを用意。汚物をまとめておくゴミ袋とセットで準備しておこう。
【ベッドルーム】
避難経路を邪魔しない シンプルな空間に。
Before
●NG1
エアコンの下は落下の危険があるので頭は向けない
●NG2
避難経路が障害物でふさがれている
●NG3
防災リュックがない
◎OK
倒れる危険のある家具がない
After
就寝時に地震が起きてもすぐに逃げられるように通路には何も置かず、倒れてくる背の高い家具も置かない。エアコンが頭上にあるため、落下の危険を考えて枕を反対側に。
●改善ポイント1
足元にあった衣類箱を窓際に移動。
タンスの引き出しを利用した衣類箱は窓際へ移動して、避難経路を確保した。避難時に足を取られて転ぶ心配がなくなった。
●改善ポイント2
大量の絵本を整理し、その日に読むものだけを。
毎晩、息子に読み聞かせる絵本を通路にズラッと並べていたが、安全のため本棚に移動。その日読む絵本だけを枕元に用意することに。
●改善ポイント3
クローゼットに防災リュックを準備しておく。
すぐに持ち出せるように防災リュックはクローゼットの目につきやすいところに保管。「季節で中身をチェックして入れ替えましょう」
『クロワッサン』1041号より