50歳を超えても投資は有効? ひとり老後のために必要なお金はいくら?
文・太田祐子
50歳を超えても投資は有効?
「これまで企業年金があると加入できなかったiDeCoが’22年からはほとんどの人が使えるようになります。所得控除があるのでお得な制度。ただ、iDeCoは現在のところ60歳までしか加入できないので、55歳以上の人の場合は積立期間も短く、リターンも期待できません」
その場合におすすめなのは、少額投資非課税制度の“つみたてNISA”だ。つみたてNISAは毎年の非課税枠が40万円まで使え、20年間継続して積み立てができ、その利益も非課税。
「所得のない専業主婦にも有効です。iDeCoのように口座管理手数料がかからず、信託報酬だけ。投資でお金を増やすには、長期・積み立て・分散が王道なので理想的な制度です」
60歳から始めたとしても20年間つみたてNISAを満額で運用すれば、80歳のときには元本だけで800万円が積み上がる。運用益が出ていれば1000万円も夢ではない。
「投資可能期間が’42年までとなりました。できれば今すぐ始めたいですね」
人生、最後の最期。 実際のところお金はどれくらいあればなんとかなりますか?
「ひとりで老後を迎える場合、最期に自分がどこで死ぬかということを具体的に考えておかないといけません。つまり、今の家にギリギリまで住むか、有料老人ホームに移り住むのか」
有料で入れるサービスは数々あるが、実際にその金額を考えると、かなり余裕がある世帯でないと難しいことは容易にわかる。たとえば入居金なしで月々20万円の老人ホームに70歳から入って95歳まで生きるとすると総額6000万円。それに小遣いやお葬式代を考えると……。
「決して高級なホームでなくても厳しい金額です。だったら今住んでいる家に必要なリフォームをして最期まで住むということを考えてもいい。リバースモーゲージなど家を担保にして融資を受けられる制度もありますが、よほど都市部で優良物件でないと実現は難しいし、可能であったとしても利子を払い続けなければならないので、現段階ではあまりおすすめしません」
女性の場合、実際の寿命と健康寿命の差が12〜13年と長く、最期には健康問題を抱えることも多い。
「亡くなるまでの4〜5年は介護生活になるのが平均的だといいます。現在、国の方針も、住んでいる地域での包括支援を推し進めており、だんだん在宅で介護や医療のサービスを受けられるようになってきました。最期まで自宅で訪問介護を受け、看取ってもらうことを想定すると、医療と介護にかかる費用は5年間でざっと800万円程度(介護保険含む)となります」
『クロワッサン』1038号より