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【山田ルイ53世のお悩み相談】夫にタイミングよく不満を伝えられません。

お笑いコンビ髭男爵のツッコミ担当で、作家としても活動中の山田ルイ53世さんが読者のお悩みに答える連載。今回は夫への不満をすぐに伝えられずもやもやしてしまう女性からの相談です。

撮影・中島慶子

<お悩み>

ルイ53世さんが大好きでいつも拝見しております。
主人に対する対応でぜひアドバイスを頂きたく、ご相談させていただきます。
主人にイラっとすることを言われたり、されたりした時の対応なのですが。
私は瞬発力がないのか、瞬時に「それはひどくない?」とか「そういう事を言われると傷つく」などと切り返せません。それで後から言われた事を反芻して一人でもやもやイライラして、そっけない態度をとってしまい、あの時こう言えてたらスッキリその場で終われていたのに!ということが多々あります。
しかもほとんどが大した事ではなさすぎて、後から指摘するには気恥ずかしくて言いづらく、結局いつももやもやしたままで終わります。発散できないものが積もり積もって、最近主人に優しくできません。
私の機嫌が悪くなるタイミングが遅いので、主人もなぜなのかわからず嫌だと思うし、何とかその場で切り返そうと思うのですが、いつも出遅れてしまいます。

どうしたら瞬時に切り返せるのか、もしくは出遅れた際にはどのように伝えたり、気持ちを切り替えたりすればよいでしょうか?

(ミサンガ/女性/幼稚園児が二人いる、30代の専業主婦です。)

山田ルイ53世さんの回答

「どうしたら瞬時に切り返せるか」、「出遅れた際、どのように伝えれば」、「気持ちの切り替え方は?」と頭を悩ます相談者。
筆者にも似たような経験があります。
いや、夫婦喧嘩ではなく、バラエティー番組の収録の話。
思うように爪痕を残せず、不完全燃焼でトボトボと帰路につくとき、
「一体、どうすりゃよかったのか……」
とため息交じりで全く同じことを自問自答しています。

さて。
相談者が欲しているのは、いわば夫婦喧嘩における“ツッコミ力”のようなものかと。
奇しくも、「夫婦漫才」という言葉がありますが、これは夫婦揃って芸人だということであって、(当たり前ですが)普通のカップルが面白い漫才をすることなど不可能です。

何より、“漫才”であれば、稽古に励めばベストのタイミングで“ビシッと”ツッコむことも可能でしょうが、“喧嘩”の場合、2人の息が合ってしまってはもう終わり。
テンポ感溢れる言い争いは、自ずとヒートアップしていき、知らぬ間に後戻りができない地点まで突っ走ってしまう危険を孕んでいます。
夫婦の間で「もうええわ!」を口にするときは、別離しかありません。
それは、マズい。
噛み合わないくらいがちょうど良いこともあると思うのです。

大体、瞬時に切り返し、理路整然と旦那さんをやり込めたところで、それが和解や事態の好転に供するかと言えば、そんなことはない。
むしろ、逆の結果を招くことの方が多いのではないでしょうか。

とは言え、相談者が日々傷付いているのを我慢することもない。
今後のためにも、言うべきことは言いましょう。
後日、
「ちょっといいかな?」
と改めて夫と対峙し、
「数日前のあの件だけども……」
と正々堂々と蒸し返せばいい。
話し合いの場を持つのは、決して悪いことではありません。

その際は、相手をやり込めよう、やり込めてスッとしよう、ではなく、
「ショックだったから、ああいう言い方はやめて欲しい……」
ともの静かに率直に伝えることを心掛けると良いかもしれません。
この場合、大事なのは、「何があったか」ではなく、相談者が傷付いたという事実。
先方が、少々罪悪感を覚えるような、ヒヤッとしていただけるようなアプローチが有効かと思います。

いずれにせよ、不満が積もって旦那さんに優しく出来なかったり、「1人でモヤモヤ、イライラして、そっけない態度をとってしまう」より余程マシ。
傷付いた心に、
「フーフー!」
と優しく息を吹きかけて貰いましょう。
それでこそ、“夫婦”です……などとベタなオチで締めくくっては、原稿の場合取り返しが付きませんが、相談者は違う。
お幸せに。

山田ルイ53世●お笑いコンビ、髭男爵のツッコミ担当。本名、山田順三。幼い頃から秀才で兵庫県の名門中学に進学するも、引きこもりとなり、大検合格を経て愛媛大学に進学。その後中退し、芸人へ。著書に『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)、『一発屋芸人列伝』(新潮社)、近著に『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)。
 公式ブログ

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