鼻呼吸と腹式呼吸こそ、誰にでもできる内臓ストレッチ。
撮影・岩本慶三 ヘア&メイク・畑江千穂 文・一澤ひらり イラストレーション・川野郁代
「腹式呼吸はスーパー内臓ストレッチになるんです!」
と話すのは、呼吸アドバイザーの椎名由紀さん。江戸期の臨済宗の名僧、白隠禅師が長寿法として伝えた禅の呼吸法を、現代的なメソッド「ZEN呼吸法」へ展開した。
「腹式呼吸で使う筋肉は主に横隔膜と腹横筋の2つ。横隔膜を上下に動かすことで、肺は10~20cmも伸びると言われています。また腹横筋は内臓全体を包むコルセットのようなインナーマッスルで、腹式呼吸によりしぼんだり膨らんだりすることで、内臓をストレッチできるんです」
呼吸にはこの腹式呼吸と、胸式呼吸の2つがあり、胸式はアクティブモードで交感神経優位、腹式はリラックスモードで副交感神経優位に。
腹式呼吸をする際は、胸を張らない姿勢が大事。
このストレス社会では緊張するスイッチが入りっぱなしで、寝るときまで胸式呼吸になっています。しかも口呼吸が多い。腹式呼吸の基本は鼻呼吸。深く吐くときに筋肉がゆるんでリラックスし、心身が穏やかに調います。鼻は高機能の空気清浄フィルターをもつ器官ですから、呼吸に使ってほしいです」
呼吸するうえで何より大事なのは正しい姿勢、と椎名さんは言う。
「腹式呼吸ができるようになるコツは姿勢です。胸を張るのがいい姿勢と思われがちですが、これは胸式呼吸に導く姿勢です。腹式呼吸には、仙骨を立てて肋骨をまっすぐにすることが肝要。体が円柱状になるので、横隔膜が動きやすくなるんです。姿勢と呼吸は連動しています。この正しい姿勢を手に入れたら、腹式呼吸は自然にできるようになります」
鼻呼吸+腹式呼吸の利点。
● 酸素が多く取り込める
● 副交感神経が優位にはたらく
● リラックスと落ち着きが得られる
● 内臓がストレッチされる
現代人に多い口呼吸+胸式呼吸は、浅く速い呼吸になってしまう。内臓が動きにくく、疲れや不調を生みやすい。鼻呼吸+腹式呼吸は、深くゆっくりした呼吸が健康の要に。
腹式呼吸を行えば肺と横隔膜は効率よく連動する。
吐く:横隔膜が上に伸びる。
息を吐くと、肺の空気が押し出され、横隔膜が上がり、内臓が上方に動く。この横隔膜の上下が内臓をマッサージする。
吸う:横隔膜が下に縮む。
息を吸うと、肺に空気が入ってきて肺が伸び、横隔膜が下に縮む。多くの内臓は横隔膜下にあるので、内臓が刺激される。
「お腹が動く感覚を意識して!」