それにしても「玉屋柳勢」とは、皆さん耳慣れない変わった芸名と思われたことでしょう。それもそのはず、百年近く名乗る者なく途絶えていた名跡の復活なんです。「縁かいな」という有名な端唄の歌詞、
♪夏の涼みは両国の
出船 入船 屋形船
あがる流星 星くだり
玉屋がとりもつ縁かいな
が由来となっています。両国の川開き、「たーまやー」のかけ声であがる花火の名前ですね。
実は十数年前、真打昇進が決まった私に「三三という名前を変えたほうがいい」と、この「玉屋柳勢」を勧めてくれたかたがありました。そのとき私は「変な名前だな」と、お断りしたんです。けれどこのたび新真打が看板を上げてみると実にいいではありませんか! 名前のとおり寄席の夜空に大輪の花を咲かせて、大勢のお客さんに落語日和を届けてもらいたいですね。