布と針で闘う、ファッション系バトルショーNetflix『ネクスト・イン・ファッション』【エディターのおうち時間】
私事で恐縮ですが、その昔、洋服作りを学んでいた経験があります。
当時、縫い物作業が全く上達せず、何度縫い直したことか……。でも人の作業を横から見ているのは好きです。
上手な人って難しい布でも、あっという間に縫い上げていくんです。魔法の手先を持っている人って本当にいるんですよね。
そんな魔法使いがたくさん出てくる作品が、Netflixで配信されている、『ネクスト・イン・ファッション』。
以前紹介した『クィア・アイ』のファッション担当“タン・フランス”と、世界のファッションアイコンでインフルエンサーの“アレクサ・チャン”をナビゲーターに、ファッション業界で活躍する18人のデザイナーが2人1組となって、毎回テーマに沿った作品を発表し、洋服でバトルを繰り広げるリアリティショー。
優勝者には、優勝賞金25万ドルと、世界最大手のファッションECサイトで、自身のコレクションピースを発売できる権利が与えられるとあって、出場者はギラギラと燃えたぎっています。
注目すべきはその制作期間。1日半しか与えられない中で、コンセプト、デザイン、素材選び、パターンメイキング、縫い作業、フィッティング、スタイリング……をこなさなくちゃいけないなんて、洋服作りをかじったことがある人なら恐れ慄く短い期間。時間が足りなさすぎて、本当無理……なんですが、出場者は自身のブランドを持っていたり、パリコレに出るような大きなブランドでチーフデザイナーをやっていたりと、腕自慢たちばかり。
そんな猛者たちでも、作業が終わらなくてネガティブになったり、コンセプトが迷子になったりと、もう毎シーズン事件が起こってハラハラドキドキ。
2人1組なので、うまくコミュニケーションが取れているチームもあれば、意見が対立するチームも。
最後はファッションショー形式でプレゼンテーションを行うのですが、うまくいっているチームはテーマと作品がカチッとハマっているのですが、うまくいかなかったチームは、どこか浮いた印象に。
審査員である、著名なブランドのデザイナーたちのハッキリとした物言いに、こちらがグサっと傷ついてしてしまったりと、全エピソードが手に汗握り、いつもハラハラ。集中して観ているとぐったりしてしまうことも(笑)。
18人の挑戦者は徐々に人数が絞られていき、終盤では個人戦へ。今までペアを組んでいた仲間とバラバラとなり、ライバル関係になります。
でも『ネクスト・イン・ファッション』を推せるポイントは出場者のリスペクト力。
バトル系リアリティーショーの醍醐味は、出場者の悪口の言い合いだったり、蹴落とし合いだったりしますが、『ネクスト・イン・ファッション』では、みんな時間に追われているのに、周りからアドバイスを求められたら立ち止まって一度考えて、自分の持っている知恵や経験を惜しげもなく提供しちゃうんです。負けちゃうかも知れないのに!
相手のこれまでの経歴やデザインを尊敬し、才能を認めて励まし合う姿が、プロ同士の対決を超えた熱い友情を感じてグッときちゃいます。ファッションだけでなく、物づくりが好きな人、興味がある人はきっとハマるはず!
ファッションの世界ってきらびやかな面だけじゃない。
ただセンスがいいだけ、縫製が上手なだけじゃ勝ち上がれなくて、いろんな経験や知識が積み重なってできている物だと改めて感じさせてくれます。
今はリラックスした格好ばかりですが、早く魔法使いたちが丹精込めて作った、キラキラした洋服に袖が通せるようになりますように!(クロワッサン オンライン編集部 ユリ)
ユリ
『クロワッサン オンライン』エディター。丸顔・ショートヘアに大きめピアスが基本スタイル。少女漫画で育ち、漫画好きが高じて書店でアルバイトをしていたことも。今の悩みは本の収納と整理。
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