くらし

自然と共存するモダンデザイン。東京ステーションギャラリー『アルヴァ・アアルト もうひとつの自然』

アルミン・リンケ撮影、 ヴィープリ(ヴィーボルク)の 図書館。Alvar Aalto, 1927-35(C)Armin Linke, 2014 講堂の天井は、アアルト・デザインを象徴するような波打つ形が印象的。音響上の要求に応えるための設計だったそう。

20世紀を代表する建築家のひとり、アルヴァ・アアルト。昨年、生誕120年を迎えた彼の日本における本格的個展は、なんと20年ぶりとなる。本展では、アアルトが設計した個人邸宅や公共建築の写真や模型、本人によるドローイングのほか、建築に合わせてデザインした家具やガラス製品とその制作工程など、彼の随所に貫かれたこだわりを見ることができる。

アアルトが手がけた照明器具やスツールは、今なお世界中で親しまれるほどの人気だ。その魅力を建築家のトミタ・ジュンさんはこう語る。

「彼の故郷であるフィンランドの空気感を、そのまま建築やプロダクトで表現しているところがすごい。フィンランドバーチなどのナチュラルな素材を用いて、有機的な曲線のフォルムに落とし込む。まるで、フィンランドの穏やかで静かな風景が建築になったようですし、ローカルの素材に対する愛も感じます」

アームチェア 41 パイミオ Alvar Aalto, 1932(C)Vitra Design Museum, photo:Jürgen Hans バーチ材の積層合板を加工し、クッション張り地がなくても、しなやかで座り心地がよい椅子を実現。

また、どの建築においても、どこか温かみを感じるのは「照明が特徴的だから」とトミタさん。

「アアルトは、自然光に照明をプラスして拡散的なライティングにしています。室内全体に光を回り込ませることで透明感や浮遊感が生まれ、静謐な“間”を感じさせるのです」

「スツール60」の制作工程を追った映像では、生産が始まった1930年代においてすでに、デザインと実用性を両立させるという持続可能な考えが読み取れる一方、本人が描いた設計図にはムラやゆがみが見られたりも。

「芸術家肌の自由人気質が表れているのでは(笑)。そうした人柄が見えるのも本展の魅力です」

アアルトのマテリアル・ スタディ(レリーフ)(C)Vitra Design Museum, photo:Ursula Sprecher 積層合板で作られたレリーフ。「曲げ木の美しさが表現され、アートピースになりうるほどの出来映えです」

『アルヴァ・アアルト もうひとつの自然』
東京ステーションギャラリー 〜4月14日(日)
東京都千代田区丸の内1-9-1 TEL.03-3212-2485 10時〜18時(金曜〜20時、入館は閉館30分前まで) 月曜休館(4月8日は開館) 料金・一般1,200円

トミタ・ジュン●建築家、プロダクト・グラフィックデザイナー。御室窯「仁秀」代表。京都造形芸術大学客員教授、スタンフォード大学客員教授を務めるなど、多方面で活躍。

『クロワッサン』994号より

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