同じ食事でも焼き芋を食べる仕草は、小さく畳んだ手拭いを筒状にくるりと丸めてお芋に“見立て”て、熱々をかじるようにハフハフしながら食べ、膝の上にポロポロ落ちたものをつまんで口に入れ、かじった歯形が芋についたところをじっと見る……。ね、焼き芋でしょ?
扇子なら見立てる品は、煙管・刀・槍・包丁・筆・手紙・しゃもじ・大盃・船の櫓と竿……。手拭いは煙草入れ・本・財布・紙入れ・馬の手綱・金包み……。
それこそ表現できる物は数知れず。さまざまな使い方をして、お客さんの想像をより広げていただく、つまり「落語日和」の大きなお手伝いをしてくれるのです。