【正月編】正月を豊かにする、7つの暮らしの風習。
撮影・広田行正 文・大澤はつ江
6. 正月の供物で直会を行う。
お供えしたものを下げいただく直会を、家族全員で。
お正月の神様にお供えしたお餅などを下げ、それをみんなで食することを直会(なおらい)という。よく知られた行事でいえば鏡開きなどが当てはまる。
「一般的には、1月11日が鏡開きです。玄関などに飾られて乾燥した鏡餅を、木槌や手で割り、お汁粉にしていただきます。その年の一家円満を祈りながらいただくといいとされています。お汁粉の小豆はやはり、赤い色が邪気や災いを祓う力があるという縁起物。熱々のお汁粉を家族でいただくことは、この上ない至福の時間になります。この先も守っていきたい習わしです」
7. 自家製の屠蘇をふるまう。
生薬のエッセンスをいただくお屠蘇で、無病息災を願う。
正月に欠かせない屠蘇(とそ)。平安時代に中国から日本にもたらされたといわれる。現在のように一般に広まったのは江戸時代。
「漢方薬に用いられる生薬5〜10種類を、本みりんや日本酒に漬けて、そのエッセンスをいただきます。今は薬局で生薬を詰め合わせた屠蘇散がありますが、簡単に作れますから我が家の屠蘇を作ってみてはどうでしょう。私は八角、棗(なつめ)、クコの実、紅花、ニッキ、サンザシ、ミカンの皮などをお茶パックに入れ、日本酒に3時間漬けます。湯でお茶のように飲んでもおいしいですよ」
広田千悦子(ひろた・ちえこ)●日本の行事・歳時記研究家。お正月飾りの教室を、12月21〜26日(14時〜16時30分ごろ)に開催。詳細は、 http://hirotachieko.com
※座席数に限りがあります。2018年12月13日時点で、21日、22日は満席。キャンセル待ちを受付中。
『クロワッサン』987号より