『晴さんには自分の母親を投影させている』「半分、青い。」脚本家北川悦吏子インタビューVol.2 | アートとカルチャー | クロワッサン オンライン
くらし

『晴さんには自分の母親を投影させている』「半分、青い。」脚本家北川悦吏子インタビューVol.2

連日視聴率20%超えのNHK連続テレビ小説、「半分、青い。」(NHK総合/月曜~土曜あさ8時)が9月29日に最終回を迎えます。
クランクアップ後、脚本を手がけた北川悦吏子さんがメディアの合同取材に応じてくれました。クロワッサン オンラインでは最終回までに3回に渡り、北川先生のインタビューをお届けします。第2回目は北川さんが描いた魅力的なキャラクターたちについて伺いました。

佐藤健が律を立体的にさせてくれた。

写真提供=NHK

まずは、視聴者の年代・性別問わず愛され、鈴愛に翻弄されっぱなしの律(りつ・佐藤健)について伺うと、

「佐藤くんが、律という人物について、『いろんな人(登場人物)が見た律で成り立っている』って言っていたんですね。確かに私も律のキャラクターはゆらゆらしていて、実は律との距離感を測りかねていたんですね。

母親の和子(わこ)さんが死んでしまうときは、律を情けなくて、分かりやすい人にもしたし、広い心で周りの人を包み込むタフな部分も持たせたり、いったりきたりしながら書いていたんですが、佐藤くんが、ゆらゆらした律を立体化して画鋲で留めてくれたんです。

そして天使のような優しさと弱い部分が共存しているところも、女性人気が高かった理由のひとつなんだと思います」

晴さんと和子さんそれぞれの母親像

写真提供=NHK

そして『半分、青い。』では二人のお母さん、晴 (はる・松雪泰子)と和子 (わこ・原田知世)の優しく、温かい母親像に癒され、時には泣かされる場面も。晴のモデルはなんと北川さんのお母さんなんだそう。

「晴さんは自分の母親を投影している部分があります。自分も一人の母として、晴さんに気持ちを込めている部分はありますが、やはり私の母親ですね。
晴さんは都会の物分かりのいい母親というよりは、昔の田舎の母親という部分を大事にしました。娘の結婚を案じたり、身体のことを心配したり、弱音を吐かないところも晴さんにのせて書きました。私も昔、母親から『誰かいい人おらんかね』って言われていましたね(笑)。
実はキリッとした美人な顔立ちも母親に似ているところがあって、テレビで見ていると私の身体を心配してくれたり、布団の中で一緒に寝てくれた自分の母親を思い出すんです」

そして癒し系の和子。和子と律がぬいぐるみの”岐阜犬”を介して、今までの気持ちを吐露する場面はSNSでも話題に。

「和子さんは完全に当て書きでした。他の女優さんだったらできない、少し間抜けで笑っちゃうようなシーンを演じられるのは原田さんしかいません。岐阜犬の「岐阜犬です、ワン♪」なんてことを言って許される大人の女優さんも原田さんだけ(笑)。
まるでジブリのアニメから出てきたかのような原田さんは、普段から嫌味も屈託もなくって。少し不思議な和子さんは、原田さんだからこそ生まれたキャラクターです」

いつもあたたかく鈴愛たちを見守ってくれた仙吉と廉子夫婦。

写真提供=NHK

ふたりのお母さん以外に優しく包み込んでくれていた人といえば、仙吉(せんきち・中村雅俊)と、「語り」の廉子(れんこ・風吹ジュン)夫婦。

「朝ドラらしい演出といえば、語りですよね。私は廉子さんの語りで視聴者の視点を、引かせてみたり、寄せてみたり、視聴者と同じ目線になってみたりと、誘導していた部分があるんです。少しとぼけてみたり、突っ込んでもらったり。廉子さんも当て書きで、風吹さんだからできた語りだったと思います。

もうひとつ書きたいと思っていたテーマが、戦争。
仙吉さんにその想いを託したのですが、草太(そうた・鈴愛の弟)にとって、幸せなおじいちゃんでいたいから、戦争のことはあえて語らせませんでしたが、仙吉さんの歌にのせて、戦争の映像を流すという見せ方で戦争を伝える方法もあるな、と思って書いたシーンなんです」

北川さんから語られるそれぞれのキャラクターたちの話を聞いていると、もう一度見返してみたくなってしまうほど。またはじめて聞く裏話など、最終回を書き上げたからこそのエピソードがたくさん伺えました。
次回、最終回直前。ヒロインの楡野鈴愛(永野芽郁)と、大人気キャラクター秋風羽織(豊川悦司)についての想いを語っていただきます。

【番組情報】
NHK連続テレビ小説『半分、青い。』
平成30年4月2日(月)~9月29日(土)
月曜~土曜 あさ8時から(NHK総合) ほか
https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/index.html

撮影/萩庭桂太

北川悦吏子(きたがわ えりこ)

1961(昭和36)年12月24日生まれ。脚本家・映画監督。
1992(平成4)年に「素顔のままで」で連続ドラマデビュー。主な作品に、社会現象となった「愛していると言ってくれ」「ロングバケーション」。そして、「ビューティフルライフ」「オレンジデイズ」など。2009(平成21)年には、映画の世界にも進出し、脚本監督作品に「ハルフウェイ」「新しい靴を買わなくちゃ」。活動は多岐に渡り、エッセイや作詞などでも、人気を集める。NHKでの執筆は、2016(平成28)年ドラマ10「運命に、似た恋」が初。今作が2作目となる。


『秋風羽織の教え 人生は半分、青い。』

— 秋風羽織 著 北川悦吏子 著
定価:1,404円 (税込)

「半分、青い。」でヒロイン・楡野鈴愛の漫画の師匠として登場し、数々の名言を残した秋風羽織本人を独占・密着取材!
ロン毛にサングラスで着物もたしなむミステリアスな人気少女漫画家が、あの名言に隠された「真実」を語る! 心にしみるメッセージも多数収録。
あのオフィス・ティンカーベルの日常が一気に甦る!!!


この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

SHARE