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物事の感じ方が変わった! 小説講座を体験。

より創作的な表現に挑戦するなら、俳句や小説の講座はいかがでしょう。本誌ライターの私、後藤が参加した。

撮影・岩本慶三 文・後藤真子

【小説講座】文芸編集者の講評が得られる貴重な場。同好の士から刺激も。

山口さんが講評メモを記した私の生原稿。読まれる過程が伝わってくるのは得難い経験。作品は『AAΛY みんなあなたに祈ってる。』の「01それは心に起こる」(真帆沁のWEBで公開中)。
山口さんが講評メモを記した私の生原稿。読まれる過程が伝わってくるのは得難い経験。作品は『AAΛY みんなあなたに祈ってる。』の「01それは心に起こる」(真帆沁のWEBで公開中)。

ライターの仕事とは別に、物語を書いてきた。筆名は真帆沁(まほ・しん)。いくつか賞もいただいている。20年ほど前にアンデルセンのメルヘン大賞で大賞を授かり、以来、地方文学賞で何度か入賞した。この冬から、トークメーカーという小説投稿サイトで一部の作品を公開している。
というような話を、今年に入って本誌の編集長にしたところ、小説講座の体験取材を仰せつかった。

お邪魔したのは、東京で歴史のある山村正夫記念小説講座(通称:山村教室)。もともとは作家の山村正夫さんが、大手出版社グループから小説教室の講師を委嘱されたのが発端で、それが休校となったため、私塾として講座を創設したのが始まりだ。後進の育成に熱心に取り組んでいた山村さんは、しかし1999年に病気のため逝去。亡くなる前に、親友だった作家の森村誠一さんに後を託した。こうして山村教室は、森村さんが名誉塾長となり、山村さんと森村さんの担当編集者だった山口十八良さんが主任講師となって、今日まで続いている。
これまでに輩出した作家の顔ぶれは、実に華やかだ。篠田節子さん、宮部みゆきさん、松村比呂美さんなど、女性作家も少なくない。

そんな本格的な講座に、私が混ぜてもらえるだろうかと心配したけれど、代表幹事の新井希さんは、「ぜひぜひお越しください」と歓迎してくれた。ビジターは、誰でも一度は無料で見学できる仕組みになっているという。講座の内容や雰囲気を、実際に体験した上で、受講するかどうかを検討できる。

ただし、受講するとなったら、申込時に短編小説の提出が必要だ。「え、これから小説を書くための講座じゃないの?」と、驚く人がいるかもしれない。もちろん、ビギナーでも受け入れてもらえるが、とにかく1編、自分なりに書き上げてみることが先決だ。書かないと始まらないというワケは、この先を読むと納得できると思う。

4月某日、私は見学者として教室を訪ねた。土曜の夕方、にぎわう渋谷の街を抜け、開始時刻より早めに到着すると、数人の受講生がてきぱきと会場の準備に働いていた。営利団体によらず、有志の幹事が自主運営しているのも山村教室の特徴である。司会をする新井さん、受付を担う古田光代さんほか、幹事はみな受講生だ。同好の士が、互いに高め合う場を能動的に生み出していて、いい熱気が漂っている。

受講生の提出作品は冊子に収められて配られる。中のページは小説誌のような3段組み。
受講生の提出作品は冊子に収められて配られる。中のページは小説誌のような3段組み。

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