じっと皿を眺めて、これにはこんな料理を盛ってやろうなんて考えるんだよ――茂出木心護(「たいめいけん」主人) | くらしにいいこと | クロワッサン オンライン
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じっと皿を眺めて、これにはこんな料理を盛ってやろうなんて考えるんだよ――茂出木心護(「たいめいけん」主人)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は老舗洋食屋の創業者として知られる、あの人物の言葉を紐解きます。
  • 文・澁川祐子
1977年7月号「名料理人(コック)が選んだふだん使いの洋食器」より

じっと皿を眺めて、これにはこんな料理を盛ってやろうなんて考えるんだよ――茂出木心護(「たいめいけん」主人)

1931(昭和6)年創業の老舗洋食屋として、今も人気の日本橋「たいめいけん」。その創業者である茂出木心護さん(もでぎしんご、1911-1978)は、『洋食や』をはじめ数々の著作を残し、日本ならではの洋食の味を追求した人物です。

和食器としてつくられた日本の陶器を、洋食に使うことが好きだという茂出木さん。昔から民藝運動の人たちと付き合いがあり、陶芸家の濱田庄司に「お前は筋の通ったものを持ってるな」とほめられたこともあるとのエピソードも。1961(昭和36)年創業の民藝店「備後屋」を訪れ、実際に食器を選びながら、選ぶポイントを語っています。

<洋食はこういう土ものに合うんだ。何ていうか、洋食の油のせいだろうね、使ってるとよくなってくる、日本料理はそうは行かない>

<こういう四角い皿をみると、みんな魚を煮たり焼いたりして盛ることしか考えねぇんだよな。でも、俺だったらトンカツやコロッケにちょうどいいと思っちゃう>

誌面では、ライブ感あふれる言葉が満載。大ぶりの紅茶碗はスープ用にもなる、片口はサラダを盛るのにいいと、自由な発想でうつわを次々と選んでいきます。

そんなふうに食器を選ぶ目を養うためには、<トレーニングが大事>と茂出木さん。その具体的な方法として語られたのが、今回の名言です。日本伝統工芸展などの展覧会に行っても、高価なやきものをただ鑑賞するのではなく、実際に使う気で見ると勉強になるといいます。

料理を写真に撮ってSNSでアップするのが日常的になった昨今。料理が映えるうつわ使いを身につけるために、ぜひとも実践したいアドバイスです。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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