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ベタボメなんだけど、ベタボレじゃないわよ――M.Iさん(取材記者26歳)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、夫婦の本音に迫るひと言を取りあげます。

文・澁川祐子

1977年5月創刊号「男友達をつくりたい」より
1977年5月創刊号「男友達をつくりたい」より

ベタボメなんだけど、ベタボレじゃないわよ――M.Iさん(取材記者26歳)

創刊号の特集は「男友達をつくりたい」という、なかなかにインパクトのあるテーマ。恋愛結婚が主流になった1970年代、好きな者同士で一緒になったとはいえ、気軽に本音を言い合える男友達もほしい。そんな妻の言い分は是か非か、8ページにわたってさまざまな意見が繰り広げられています。

まずは4組の夫婦が登場。結婚後、異性とどんな友だち付き合いを続けているかが率直に語られていきます。名言が登場したのは、そのうちの一組。夫はカメラマン、妻は取材記者という共働き夫婦の妻側からの発言です。

<夫婦は別々よ。糸でつながってる以外は。ダンナは、料理を作るのが好きなんだから、私が、夜、遅く、お酒をのんで帰っても大丈夫。尊敬しているし、できた人だと思ってる。もちろん。ベタボメなんだけど、ベタボレじゃないわよ>

夫と妻といえども、それぞれ別の人間。夫が家で料理をしても、妻がお酒を飲んで遅く帰ってきてもいい。男は外で働き、女は家で家事をする、という従来の夫婦役割に縛られず、お互いを尊重し合う自由な夫婦関係が浮かびあがってきます。

アンケート調査では、回答者236人のうち、約3分の2は男友だちの必要性を感じているとのこと。また理想的な男友だちとして選ばれたのは、西田敏行、田中邦衛、藤村俊二、木村功、加山雄三の5人。時代を感じるものの、話を聞いてくれそうな人たちを選んでいる傾向がうかがえます。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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