フードスタイリスト・野口英世さんが愛用する「これは私の手の一部」という道具たち。
毎日の料理を手早くすませるためには調理道具の使い勝手こそが最優先課題です。鍋やフライパンの中で自在に操れて、料理の仕上がりをびしっと決めてくれて台所に置けばすっきり収まる、そんな理想の道具たち。料理上手のお気に入りの逸品を取材しました。
撮影・三東サイ 文・河野友紀
先端の細さで食材を自由自在に扱える。これ一膳で手早く美しい仕上がりが可能。
鍋やフライパンの中で炒める、混ぜるといった調理は、トングと調理スプーンでほぼできてしまう、と野口さん。となると菜箸はどのように使う?
「主に盛りつけのときに使用するので、『市原平兵衞商店』の、もりつけ箸を愛用しています。軽くて握り心地がよいこの箸は、先端が細く、その直径は1.5mm程度。細かな作業こそ得意で、食材を狙いどおりに、でも優しく扱える。また、細かなものを炒るときには炒め箸として使うことも。手元側の端は斜めになっており、薬味をすくうヘラとしても活躍。カットが直線なのでボウルの縁などに密着し、しっかり擦り付けることができる。すくった薬味などが箸側に残ることもありません。しかしさすが江戸時代からの老舗が作る箸だけあって、長く使っても、曲がったり先が減ったりしないのも素晴らしい。これは28cmと23cmの長さのものを持っているのですが、より安定感があり小回りが利くのは短い23cmのもの。定番商品なので、すぐに買い換えられる安心感もいいですね」
野口英世(のぐち・ひでよ)●フードスタイリスト、料理研究家。著書に、愛用道具をレシピと紹介した『使いやすい台所道具には理由がある』(誠文堂新光社)がある。
『クロワッサン』969号より
03 / 03
広告