【リフォームのヒント】飼い主も幸せになれる、猫のためのプチリフォーム。
撮影・青木和義 文・鈴木奈代
変化に富んだ仕掛けと工夫に溢れた、オリジナルのキャットウォーク。
田辺家の猫は、おっとりとした性格のマンチカンの“ココ”(3歳)、一番やんちゃなロシアンブルーの“ノン”(2歳)、人懐こい末っ子格ノルウェージャンフォレストキャットの“ポップ”(2歳)の3匹。すべてオスである。3匹とも来客があっても我関せず。人見知りをすることもなく、キャットウォークをモデルばりに堂々と歩いている。
田辺家のキャットウォークも床から高さ約2mに作った。これなら、掃除をする時にモップも軽々届くし、手を伸ばせば猫を下ろすこともできる。階段やベッドはTV台の後ろに配置。
「猫は、TVを見ている飼い主の顔を見るのが好きなので、ここに居場所をたくさん作りました」(清水さん)
「確かに、TVを見ながらふと猫を見ると、たびたび目が合う」(義章さん)
DKの上はガラス板にし、調理中も、食事をしながらもコミュニケーションがとれる仕掛けだ。見上げるとガラス越しにモフモフの毛と肉球が見える、愛猫家にはたまらない景色。
「でも料理している時に飛び降りてくるようなことはなく、じっと上から見下ろされています」と妻の純子さん。
猫はとにかく狭いところが好き。途中数カ所に、トンネルのような箱と、顔を出せる穴もある。やはり落ち着くのか、この日は“ココ”がずっとトンネルに居座っていた。
「家族の留守中はそれぞれのお気に入りのポジションでじっとしているようです。上から眺めて安心するせいか、私たちが帰宅しても、よほどのことがない限り下りてきません。以前の家では、猫と人の足がうっかりぶつかってしまうことが、よくありましたが、それもなくなりました」と義章さん。
猫の運動不足が解消され、ストレスも減り、さらに元気に。
ほかにも、清水さんのアドバイスを受けて、網戸をステンレス製に替え、玄関には脱走防止のためのガードを付けた。猫たちが引っ掻いても穴が開く心配のない網戸のおかげで、窓を開けておけるようになったら、猫たちが窓の外を眺める時間が増えた。トイレは以前より大きくし、LDに置くようにした。
「猫のおしっこで悩む飼い主も多く、トイレはとても大切です。つねに清潔に保ち、猫の体長の1.5倍以上の広さにしてあげること。いつも見えるところに置いて、おしっこの仕方や尿をチェックすること。そうすると猫の精神状態や健康状態がよくわかります」と清水さん。
3匹の猫たちは、床と天井と行動範囲が2倍に広がり、運動もたくさんできるようになった。環境を整えたおかげで、
「以前より食欲も増し、いたずらもしなくなりました。明らかにストレスが減っているのがわかります。猫を見る回数が増えて、状態をマメにチェックできますし、床でバタバタされることもなくなり(笑)、僕たちもとても快適です」と義章さんもうれしそう。
そう、猫のためのリフォームは、人間のためでもある。それぞれに快適な居場所があれば、より幸せに共存できるのだ。
設計●ネコアイ 「猫の一級建築士」・清水満さんが猫も人も快適な住環境づくりを提案。猫との暮らしのコンサルティングも。
東京都渋谷区代々木3-46-16 小野木ビル208 TEL:03-3320-0403 http://www.necoi.jp
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