【梅雨の暮らしの一手間】熱湯でさっぱり!昔ながらの知恵で梅雨の不快を吹き飛ばす。
「私のストレス解消法は、料理と台所の手入れをすることなんです」
そう楽しげに言いながら、キッチンをきびきびと動きまわる福田春美さん。ʼ90年代よりファッションディレクターとして活躍し、人気セレクトショップやアパレルブランドを手がけてきた華やかな経歴の持ち主ですが、忙しいときほど自炊がしたくなる、そんな生活者的な面も大事にしているようです。
「呑みに行くよりも、家のことをしていたい。包丁を研いだりしているとストレスも飛んでいきます(笑)」
そんな福田さんが梅雨どきにおすすめするのが、キッチン道具の熱湯消毒。まな板やざるなどをシンクに置いて、たっぷりの熱湯をジャーッとまわしかけたら、しっかり乾くまで干しておくだけという除菌法です。後片づけの仕上げや、家事の合間に、1分もかからずにできてしまうのに、湯気がもくもくと立ちこめた後は、気持ちまでさっぱりします。
「懐石料理を習っている先生から教えてもらいました。初めて見たときは『これだけでいいんだ!』と拍子抜けしたぐらい簡単。先生は野菜に使ったざるならば、洗剤を使わずに、いつも熱湯をかけているだけだそうです」
虫が出やすくて悩んでいた環境をハーブ使いで解決。
北海道育ちの福田さんは、18歳で上京するまで、梅雨は未体験。ゴキブリも見たことがなかったという。苦手な湿気と虫を回避するために、とくにキッチンや食材は清潔を心がけています。
「この家は周りに緑が多いし、建物自体も古いせいか、梅雨から夏にかけて虫が出やすいのが悩みでした。そこで塩を詰めた袋に、ローリエ、唐辛子、クローブを入れ、虫が嫌いなハーブの香りをかけて、家のあちこちに置いたところ、虫がいなくなったんです」
そのアイデアをもとに、ホームケアのブランド『a day』の企画をスタートしたそう。
「同じ香りのブレンドで、サシェとエッセンシャルオイルを作りました。両方を使うと、小バエなら1〜2週間でいなくなります」と福田さん。取材の日も外は雨降りでしたが、家の中にはハーブの香りが漂い、清々しい空気が立ちこめていました。愛犬と暮らしていることもあり、困ったときでもなるべく化学的なものは使わずに、自然な対処法を探しています。最近見つけてうれしかったのは、珪藻土が材料の乾燥剤。
「お茶や乾物の保存瓶にポキポキと折って入れておくと、ブロックが湿気を吸い取ってくれるんです」
シンプルなデザインだから、瓶の外から見えてもOK。湿気を吸い取ると色が変わってくるが、洗って天日干しをすれば、半永久的に使えます。
冷えた体を柑橘風呂で温める。冬至の知恵が梅雨どきに効果。
居心地のいいわが家に整えたくて、あれこれ工夫を楽しんでいる福田さん。暮らし上手のルーツは、子ども時代の過ごし方にありました。
「私の実家は銭湯で、人の出入りが多かったんです。おもてなし料理を作ることもしょっちゅうだったし、朝に掃除をすませて、いつ誰が来てもいい状態にしていました。それが今でも身についているところは、あるのかも」
なかでも冬至の知恵は、梅雨の体調管理に役立っています。
「冬至用に、たくさんのゆずを家族総出で準備していました。今なら少しでいいから、オレンジなど柑橘の皮をむいたら、捨てずにざるに並べています。キッチンの片隅に置いておけばカラカラに。雨が続くと体も冷えがちだから、料理の残りのハーブと一緒にお風呂に入れて、ぽかぽかと温まっています。クエン酸で肌もつるっとしますよ」
◎福田春美さん ブランドディレクター/2014年よりホームケアブランド『a day』、生活雑貨と洋服のライフスタイルストア『Corte Largo』、ギャラリー『EDIT LIFE』をプロデュース。
『クロワッサン』903号(2015年6月25日号)より