【豊国神社/豊国廟】ありし日をうつす歴史の跡を作家・花房観音さんとたどる vol.1
撮影・福森クニヒロ 構成&文・中條裕子
花房観音(はなぶさ・かんのん)さん
小説家。バスガイドを務めながら、小説を執筆。『京に鬼の棲む里ありて』『京都伏見 恋文の宿』など、京都を舞台にした小説多数。新刊は『怪談ルポ 死の名所を歩く』。
豊国神社(七条)
豊臣秀吉を祀った往時を偲ぶ神社を明治時代に復興
こちらは豊臣秀吉を祀る神社です。元は、亡くなった秀吉の遺命により、この場所から1kmほど離れた東にある阿弥陀ヶ峰に遺体が葬られ、山の中腹に社殿が創建されました。けれど、豊臣氏滅亡後に、徳川家にすっかり廃されてしまった。それを、明治天皇が復興したという経緯があります。現在の神社が立っているのは、かつて秀吉が天下統一の象徴として建立した方広寺の大仏殿があった場所です。
この神社は、今は出世開運・良縁成就の神様として知られていて、絵馬なども秀吉公の馬印だったひょうたんの形をしています。そして神社の正面にある唐門は、伏見城の遺構として伝わっているもの。秀吉好みの華やかな桃山建築を今に伝えてくれています。
お参りをする際には、この唐門の前に立って本殿を拝する形となりますので、ぜひゆっくりと豪華な装飾を見ながら、往時に思いを馳せるのもよいのではないかと思います。
豊国廟(東山)
長い階段を上りきった先にひっそりと佇む五輪石塔
豊国神社とともに参りたいのが、秀吉の墓所である豊国廟。私が最初にお参りしたのは、学生の頃でした。大学のグラウンドが近くにあり、もともと歴史にとても興味があったので、授業の合間に「秀吉のお墓がこんなところにあるんや」という感じで行きましたね。
なぜこの場所なのかというと、阿弥陀ヶ峰に葬ってほしいという本人の遺命により、こちらの場所になったのだと聞いています。一番近くの駐車場から廟のある場所まで、500段ほどの階段を上っていくのですが、これがなかなかキツいので覚悟が必要です。階段を上りきったところには五輪石塔があり、ここで私たちを待っているのは、清水の舞台が眼下に見える絶景。500段を上ったかいのある眺めです。
『クロワッサン』1161号より
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