『恐怖症・偏執狂辞典 世にも奇妙な99の妄想の歴史』ケイト・サマースケイル 著 田内志文 訳──人は何に恐怖を抱き、何に執着するのか
文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。
文・瀧井朝世
タイトル通り、さまざまな恐怖症や偏執狂を五十音順に解説した一冊。精神医学的な診断とは無関係のものも含まれるが、目次を眺めるだけで面白い。「回文恐怖症」「長い単語恐怖症」などは、解説文を読んで笑った。
「ピエロ恐怖症」と見てすぐスティーヴン・キングの『IT』が浮かんだが、その刊行より前の一九七〇年代、若い男性や少年三十三人を殺した男がピエロに扮して地域のチャリティー・イベントに出演していたと判明、その写真が出回ったのだとか。その後もピエロに扮した人物が子どもにハラスメントを行ったという報告が相次ぎ、さらにその後『IT』や、『ダークナイト』や『ジョーカー』があり……。確かに昨今ではピエロって不気味なイメージがあり、恐怖するのも分かる(わたし、昔、サーカスのピエロに感動してサインもらったこともあるのに!)。
私が知らなかっただけかもしれないがスティーブ・ジョブズは「ボタン恐怖症」で、そのためボタンのないタートルネックセーターを着用していたと言われているとか。iPhoneタッチスクリーンもボタン回避のために生み出されたものなのかも? ぱらぱらめくるたびに発見があって楽しい。
『クロワッサン』1161号より
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