青木 柚さんが語る、舞台『ピーターとアリス』──わかったふりをしない人はかっこいいなと思います
撮影・天日恵美子 スタイリング・杉浦 優 ヘア&メイク・菅野史絵 文・黒瀬朋子
実写版映画『秒速5センチメートル』の高校時代の貴樹や、ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』のミナトなど、心の奥が見えないような人物を繊細に演じる青木柚さん。『あんたが』の人気は肌で感じていたそうだ。
「街なかで“『あんたが』観た?”と、話題にされているところを見たりしました。多くの人に愛される作品に出演できたのはありがたかったです」
現在、舞台『ピーターとアリス』に出演中。『ピーター・パン』と『不思議の国のアリス』の、物語のモデルとなった二人が数十年後に出会い、自らの人生を語り始めるという、ジョン・ローガンの戯曲で、青木さんは物語の中のピーター・パンを演じる。
「現実と物語の世界が入り混じっていくシリアスな展開が、すごく好みです」
演出は熊林弘高さん。セリフの言葉一つ一つを解釈しながらじっくり読み合わせをする稽古が新鮮だったという。
「僕は舞台経験がまだ少ないのですが、舞台は映像作品と違って編集されません。自分と相手のセリフを構成から俯瞰してみることも芝居の助けになると教えていただいて、勉強になります」
子役から俳優業をスタートさせた青木さん。映画『うみべの女の子』やドラマ『きれいのくに』など、思春期の葛藤を鋭く描く作品に数多く出演してきた。普通の男の子なら知り得なかっただろう、少女たちのシビアな内面を知ることで、実年齢よりもはやく大人にならされたのではないか? そう思うくらい成熟して見える。
「この仕事をしていなかったら、何も考えていない24歳(取材時)になっていただろうなと思います。作品を通して、人の悩みやコンプレックス、違う価値観を知るようになりました。少し年上の人から“同世代に感じる”と言っていただくこともあるのですが、猫をかぶっているだけで(笑)。同世代の友だちといる時は、めちゃくちゃふざけています」
俳優としては、「わかったふりをしない人」がかっこいいと思うと語る。
「(役や作品について)考えを言語化するのは大事ですが、わかったつもりになっていると、柔軟に演出を受けられなくなってしまう気がして。自分の考えに囚われず、余白を持っているような俳優さんは素敵だなと思います」
自らを「ひねくれている」と言う青木さんだが、そんなふうには微塵も感じられない。このみずみずしさが、多くの監督に愛される所以なのだろう。
『クロワッサン』1159号より
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