ジャクソン5の名曲カバーに垣間見るボーイバンドの矜持──「I Want You Back」(BE:FIRST)
高橋芳朗の暮らしのプレイリスト。破竹の快進撃を続ける日本の6人組ダンス&ボーカルグループ、BE:FIRSTがベストアルバムをリリースしました。ひときわ高い注目を集めているのが、新録のジャクソン5「I Want You Back」のリメイクカバー。
文・高橋芳朗
破竹の快進撃を続ける日本の6人組ダンス&ボーカルグループ、BE:FIRSTがデビュー4周年を記念して初のベストアルバム『BE:ST』をリリースしました。
計32曲ものボリュームに及ぶ『BE:ST』でひときわ高い注目を集めているのが、新録のジャクソン5「I Want You Back」のリメイクカバー。当時11歳の天才少年、マイケル・ジャクソンのデビューを華々しく飾った1969年の大ヒット曲が、ヒップホップ的解釈を通して現代に甦りました。
BE:FIRSTが所属するBMSGの代表で「I Want You Back」のプロデューサーのひとりでもあるSKY-HIさんが今回の選曲について「近代ボーイバンドのプロトタイプであるジャクソン5に対してリスペクトを込めた」とコメントしているように、マイケルとジャクソン5は若い男性メンバーで構成された「歌って踊る」グループにとってのひとつの指標のような存在です。ボーイバンドが彼らの楽曲と正面から向き合うことは、ある意味自らの立脚点を再確認する行為と言ってもいいでしょう。
そんな背景もあって、BE:FIRSTがデビュー4周年の節目のタイミングで挑んだジャクソン5の名曲カバーには、現行シーンを代表するボーイバンドとしての彼らの矜持を感じずにはいられません。未来に踏み出すにあたって一旦ルーツを顧みることを選んだその決断に、グループの洋々たる前途を確信しました。
『クロワッサン』1156号より
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