大人の女優たちが輝いた2025年の韓国ドラマ3選
文・渥美志保
韓国では第一線のドラマで主役を張る多くの40~50代の女性俳優がいるが、今年ほどそのヒロイン像が幅広かった年はないかもしれない。代表格と言えるのは、Netflixオリジナル作品の『エマ』だ。物語は、1980年に大ヒットを記録した韓国初の成人映画『エマ夫人』の製作過程を虚実取り混ぜて語り、バカバカしい艶笑が満載なのだが、やがて時代の暗部とそれに翻弄された女優たちの姿が浮かび上がる。イ・ハニ演じる大女優は自分から主役を奪った新人女優をユーモアたっぷりにイビりつつも、やがては業界の腐った慣習から彼女を守るようになる。ゴージャスな美女なのに笑いのセンスも抜群、さらに新しい役にチャレンジする度胸の良さもある彼女の存在は、韓国の女性俳優が演じられるキャラクターの幅を間違いなく広げていると思う。
Netflix
『エマ』
もしやそのイ・ハニのロールモデルなのでは?と思わせるのは、彼女より一世代上のスター、キム・ヘスだ。日本では『未成年裁判』の笑わない判事役で知られるが、笑いもシリアスもセクシーも何をやっても面白い。調査報道チームのリーダーとして悪を容赦なく追い詰めてゆく主演作『トリガー ニュースの裏側』はもはや安定の面白さだ。
ディズニープラス
『トリガー ニュースの裏側』
12月初旬に配信された『告白の代価』は、韓国で初めてカンヌ国際映画祭受賞の女性俳優となったチョン・ドヨンが、夫殺しの濡れ衣を着せられた妻を演じる。人気の演技派女性俳優キム・ゴウンが「魔女」と呼ばれる殺人犯役で、彼女と対峙するのも楽しみでしかない。このほかにも第2次韓国ドラマブームの中心作『哀しき恋歌』の主演キム・ヒソンが、再就職に奮闘する主婦を演じた『次の人生はないから』、『Mine』のクールビューティー、キム・ソヒョンが、別れた夫の手料理とともに穏やかな最期の時間を過ごす『今日はちょっと辛いかもしれない』などもいい。大人の韓国ドラマを見せてくれる同世代の活躍も、ちょっとうれしい。
Netflix
『告白の代価』
『クロワッサン』1156号より
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