漫画家・辛酸なめ子さんの2025年ベスト映画・ドラマ──“別の世界線”に没入できる魅力的な作品が豊作!
優れた物語に触れる時間は、せわしない日常を忘れさせてくれるもの。漫画家、イラストレーター、コラムニストの辛酸なめ子さんが選ぶ「2025年ベスト映画・ドラマ」は、さりげないスピリチュアルさが鍵?!
イラストレーション・村上テツヤ 文・小沢緑子
「さりげなくスピリチュアルでメッセージ性がある映画に恵まれた今年、“別の世界線”に没入できる映画に惹かれました。不穏なことが多い世の中で、よりポジティブな世界線を選びたいという深層心理があったのかもしれません」と、辛酸なめ子さん。タイムトラベルして事故死した夫と再会し、何とか救おうとする『ファーストキス 1ST KISS』。「パラレルワールドを乱発しすぎでは? と思いながらも、何度も挑戦する姿に感動。当たり前の日常に感謝したくなります」。転生しながら気になる男性とのいわくつきの関係を浄化しようとする『けものがいる』は「カルマについて考えさせられました。出会う人は皆、与えられた役割を演じている。そして過去生でまいた種はいつか刈り取らないとならないのでしょう……」。大洪水に見舞われた世界で黒猫がボートに乗り込み、ほかの動物たちと旅に出るアニメ『Flow』。「セリフなしですが動物たちのキャラクターや思いが伝わってきて、一緒に舟に乗っているような疑似感が。試練を乗り越えながら新天地に向かう姿に勇気がもらえます」
映画『ファーストキス 1ST KISS』
夫が突然の事故死。ひょんなことからタイムトラベルをした妻は若き日の夫に出会いもう一度恋をするが……。「主演の松たか子さんの若い頃の映像はどうやって撮ったのかも気になりました」。監督:塚原あゆ子 脚本:坂元裕二 出演:松たか子、松村北斗ほか
映画『けものがいる』
AIが国家の社会システム全般を管理し、感情を消去した人間だけが重要な仕事を得られる2044年のパリ。100年以上の時を超えて転生を繰り返した女と男の愛と運命をスリリングに描く。監督・脚本・音楽:ベルトラン・ボネロ 出演:レア・セドゥ、ジョージ・マッケイほか
映画『Flow』
ラトビア出身のクリエイターによるアニメーション映画。世界が大洪水に包まれ街が消えようとする中、一匹の猫は旅立つことを決意する。「何より猫の動きがリアルで猫好きにもおすすめしたいです」。監督・脚本・音楽:ギンツ・ジルバロディス
『クロワッサン』1155号より
広告